史上最多56人が立候補した東京都知事選(7月7日投開票)。自らのポリシーを貫き、すでに全候補を取材し、公約や目的、言い分を聞いたのが、この人だ。大型選挙は「政策の見本市」。無名候補も公平に扱い、「無頼系独立候補」と呼ぶフリーランスライターの畠山理仁氏に注目に値する政策を聞いた。

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 今回のトレンドは「ベーシックインカム」です。全ての都民に一律の金額を恒久的に支給する基本生活保障制度のこと。支給額は違えども、一般社団法人理事長の牛窪信雄氏(51)、自営業の後藤輝樹氏(41)ら複数の候補が訴えています。

「子ども給付金」も多くの候補が掲げています。例えば映画プロデューサーの澤繁実氏(47)は「15歳までの子に毎年100万円、3人いれば300万円」と主張。そして毎回、誰かが持ち出すのは「江戸城再建」です。2012年の都知事選では現参院議員の松沢成之氏が打ち出し、今回は合同会社代表の古田真氏(77)ら複数の候補に受け継がれました。

「東京一極集中の是正」を掲げる前安芸高田市長の石丸伸二氏(41)が話題です。しかし、14年から連続4度目の都知事選挑戦となる農業の内藤久遠氏(67)は「東京一極集中の是正」を最初からずっと訴え続けています。「公営」の人材派遣組織を開設し、地方の農村にあっせんして農業を支援するという具体策も一貫して示しています。

独立候補たちの「選挙公報」に注目を

「税金を原則として廃止」と大胆な策を提言するのは大阪在住の新藤伸夫氏(75)。その上で「たばこ税」「酒税」など健康や倫理に関する税は存続・増税し、さらに「ヘアヌード新税」を徴収すると言います。なぜヘアヌードなのかは不明ですが、江東区民の不便さを解消する地下鉄「豊洲〜住吉」間の延伸や、妊娠70日目以後18歳未満の子とその保護者に10万円ずつ計20万円の支給など多彩なアイデアの持ち主でもあります。

 私が個人的に注目する候補は、AIエンジニアの安野貴博氏(33)と医師の大和行男氏(46)、会社役員の小野寺紘毅氏(79)です。それぞれ順に「自動運転の積極活用」「都立病院の日曜休日診療の開始」「都内学校へのシェルター設置」などの政策を訴え、熱っぽさを感じます。

 14年の都知事選で、独立候補が訴えていた「自転車専用道路」が選挙後に実現した例もあります。都知事選は各候補の提案する政策が社会に反映されるビッグチャンス。都民の皆さんにはぜひ、独立候補たちの政策が記載されている「選挙公報」に目を凝らしてほしい。

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「東京一極集中の是正」を掲げる石丸伸二候補に意外なアキレス腱が……。

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