万引で捕まったらどうなる? 実は振り込め詐欺被害者より多い

万引で捕まったらどうなる? 実は振り込め詐欺被害者より多い

【老親の悩み 米山隆一が全部応えます】#5

「うちの親に限って絶対ない!」と思われる方が大半だと思いますが、高齢者の犯罪は20年前の約2倍になっています。このうち、万引の初犯は10万人に76人ほどです。

 変な比較で恐縮ですが、振り込め詐欺の被害に遭われる高齢者は10万人当たり37人ですので、親の振り込め詐欺の被害に備えるのと同等以上に、親が万引で捕まった時の心構えも持っておくべきです。

 ここで「捕まったら」と書きましたが、「捕まる」は大まかに「その場で店の人に取り押さえられる」「その場で警察を呼ばれ逮捕される」「万引後、防犯カメラなどから特定され警察の捜査・取り調べを受ける」「捜査・取り調べの結果、起訴される」の4通りがあります。

「その場で店の人に取り押さえられる」場合は、幸いと言っていいのか分かりませんが、この時点では警察から刑法犯として認知されていません。連絡を受けたら、ひたすら謝り、相手に許してもらうに越したことはありません。被害を弁償し、本人の反省を示し、再発の防止に努めてください。

「その場で警察を呼ばれ逮捕される」場合は、①常習ではなく②被害が軽微(おおむね2万円以下)で③商品が返還されるなどして被害弁償がなされていて④被害者の処罰感情が強くなく⑤身元引受人がいれば、「微罪処分」となり、検察に送致されることなく釈放され事件は終了します。ただし、前歴は残ります。

 高齢者の万引の60%程度が微罪処分となっており、突然警察から「あなたの親御さんが万引をした。身元引受人になってほしい」と連絡が来たら、ほぼこの場合です。

 拘束・刑事手続きが続くかどうかの分かれ道ですので、複雑な気持ちはあっても、身元引受人となっていただければと思います。微罪処分となれば事件は終了し、その後逮捕・起訴されることはありません。

 微罪処分とならなければそのまま拘束され、48時間内に検察に送致され、さらに最大21日間拘束されます。同居の家族には逮捕の連絡はありますが、そうでなければ連絡はなく、多くは弁護士会経由で担当した当番弁護士から知らされます。取り調べの結果、起訴されるか否かには、被害者との示談の成立が非常に重要です。経済的負担を覚悟し、弁護士と相談の上、示談の成立に努めて下さい。

「万引後、防犯カメラなどから特定され警察の捜査・取り調べを受ける」場合はどうなるか。いきなり逮捕ということはあまりなく、任意捜査から始まります。きちんと捜査に協力しないと逮捕されてしまいますので、この段階で親御さんから相談を受けた場合は、全面的に捜査に協力すること、何より本当にやったなら素直に認めて反省することを強く勧めて下さい。

 最後の「捜査・取り調べの結果、起訴される」と裁判になります。量刑においては、罪状や本人の反省もさることながら、家族が責任をもって再発防止に努めることが重視されます。

 高齢者の万引は独居などで家族・周囲から孤立している方に多く見られますが、「客観的にはそれほど困窮していないのに万引をする」「店に見つかっても何度も万引を繰り返す」「盗んだものや結果にはあまり関心がない」などの場合、認知症や、「窃盗症(クレプトマニア)」と呼ばれる依存症の可能性もあります。再発の防止には家族のケアが重要ですが、対応しきれない場合は行政に相談し、医療・介護の専門家らと連携して対策を講じて下さい。

 親の犯罪に直面するのは大きなショックです。しかし、きっと親御さんは、読者の皆さんが子供のころ、数々の失態をさまざまにフォローして育ててくれたと思います。「恩返し」ではないですが、家族と社会が協力して対応していきたいものです。

(米山隆一/前新潟県知事・医師・弁護士)


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