不要不急の外遊で、どれほどの成果を持ち帰ることができるのか。「バイデン米大統領と対面会談する初の外国首脳」を勝ち取り、菅首相は意気揚々と訪米。日米首脳会談の内容もさることながら、新型コロナウイルスワクチン供給をめぐり、見せ場にしようともくろんだ米ファイザーとの交渉は、鼻であしらわれる赤っ恥。帰路の足取りはかなり重いものになりそうだ。

■ワシントンDCからNYに電話

 遅れに遅れているワクチン接種スケジュールは、一向に改善の兆しが見えない。英オックスフォード大などの調査(10日時点)によると、少なくとも1回接種を受けた人の割合は、日本は全人口のたった0.87%。ネタニヤフ首相と諜報機関モサドが陰に陽に動き回ったイスラエルの61.35%、金に糸目を付けない米国の35.03%に遠く及ばない。10%超えのG7でもケタ違いの差をつけられ、平均0.65%のアフリカと同水準の情けなさだ。

 そこで菅首相周辺が一計を案じたのが、ファイザー社との追加交渉だった。

 アルバート・ブーラCEOを滞在先のワシントンに呼びつけ、対面会談を模索。「首相による直接交渉」の絵をつくり、局面打開を狙ったものの、見事に頓挫した。首脳会談終了後にワシントンの菅とニューヨークのブーラ氏を電話でつなぎ、協議するという。

「新型コロナ対策で対面から電話に切り替えたとされていますが、袖にされた菅首相のメンツを立てたアナウンスに過ぎない。1月中旬にワクチン担当に起用された河野行革相が〈直接ファイザーと話をする〉と交渉役に名乗りを上げると、引く手あまたのファイザー側は〈首相を出してほしい〉と逆指名したほど強気。呼べばCEOが出てくると考える方が甘い」(永田町関係者)

 本社に乗り込むでもなく、電話で話すんだったら、東京からサッサとコールすればよさそうなもの。米国時間に合わせ、宵っ張りで拝み倒すのが恥ずかしかったのか。

 政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう言う。

「ファイザー社には世界中からリクエストが殺到している。日本国総理大臣が訪米するから、直接話そうなんて虫のいい話が通らなかったのでしょう。これをもって後手後手と言わず、何を後手後手と言うのかというほどのお粗末さ。菅首相には国民の暮らしと生命を守る危機管理能力がないことが改めて浮き彫りになったと言っていい」

 井の中の蛙に国を預けちゃダメなのだ。