新型コロナウイルスワクチンの接種が世界で進む一方、新規感染者数が再び急増し、過去最多の76万人ペースに膨れ上がっている。すさまじいのが世界2位の人口13億人を抱えるインド。1日あたりの感染者は27万人に上り、累計感染者は1500万人を超えた。要因とされる「二重変異株」は各地で出現する可能性があり、日本も対岸の火事ではいられない。

 二重変異株は、ひとつのウイルス内の重要部分に2つの変異株の特徴を併せ持つ。インドでは3月末に確認され、前後して感染が再拡大。WHO(世界保健機関)によると、特異な突然変異が見られることから感染力が強まり、中和作用の低下を引き起こす可能性がある。「アジアと北米で報告されている」とも指摘しており、インド保健当局も「この変異株は免疫防御機能を回避したり、感染率が高くなったりする」との声明を発表した。

 ヒンズー教徒が人口の約8割を占めるインドでは3月下旬以降、国民的宗教行事が各地で開催された。人々がマスクをせずに密集・密接したのが、二重変異株出現の引き金となったのか。ハーバード大学院卒で医学博士の左門新氏(元WHO専門委員)はこう言う。

「RNA(リボ核酸)と呼ばれる遺伝情報を持つ新型コロナウイルスは、ヒトなどの細胞に入り込んでRNAを複製して増殖するのですが、ある一定の確率でコピーミスをすると変異が起きる。ですから、流行が大きければ大きいほど、新たな変異ウイルスが発生する。報告されているだけでも数百以上に上ります。変異がひとつだけのこともあれば、複数の場合もあり、インドで確認された二重変異株のようなケースはいくらでも起こり得る。三重、四重の変異株が出現する可能性もあります。新たな変異によって感染力が強まったのか、重症化を引き起こしやすいのか、ワクチンが効きにくいのか。こうした点が重要です」

 インドでは、夜間や週末の外出を禁止するなど感染拡大防止策を強化しているが、ひとつのベッドを2人で利用しても感染者を収容できないほど医療提供体制が逼迫している。第4波の真っただ中の日本も、感染爆発に発展すれば二重変異株の出現リスクは増す。国内発の変異ウイルスの脅威にさらされるのも時間の問題なのか。