大阪府は20日、国に対し3度目の緊急事態宣言の発令を要請した。吉村洋文知事は「医療体制が極めて逼迫しており、一日も早く宣言を出してほしい」と強調したが、手ごわい変異株の短期収束は容易じゃない。

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 今回の宣言は飲食店の「時短営業」にとどまらず、テーマパーク、百貨店、大規模商業施設、大型映画館にも「休業要請」を実施。“一斉閉鎖”で人の動きを大きく止めるという。昨年春の「STAY HOME」のように人流を抑え、早期に収束させたいようだ。吉村知事は「私権の制限を伴うが、人の動きを抑える必要がある。期間は3週間から1カ月が適当で、国には補償を含めて財政支援をお願いしたい」と訴えた。

 大阪の「第4波」はいつまでつづくのか――。昨年春の第1波は宣言発令から全面解除まで1カ月半かかった。ただ、当時、府内の1日の感染者数は最大92人(4月9日)。現在の変異株が市中に蔓延し、感染者数が連日、1000人を超える状況とは大きく異なる。

 参考になるのが、英国だ。昨年12月から変異株が流行の主流になり、1日の感染者数が6万人を超える感染爆発が発生。1月5日、人口の8割弱を占めるイングランド全土で学校や商店を閉鎖し、原則自宅待機のロックダウンに踏み切った。

 強力なロックダウンが奏功し、足元の感染者数は2000人程度とピーク時の30分の1までに減少。それでもロックダウンの緩和は段階的だ。3月8日に学校の対面授業を、4月12日には飲食店の屋外営業、小売り、美容室を再開させた。今後は5月17日に飲食店の屋内営業、映画館、スタジアムでのスポーツ観戦などを再開させ、法的規制の全面解除は6月21日の予定だ。収束には、ロックダウン開始から半年近くかかるロードマップを描いている。

「英国型変異株の収束プロセスは参考になる」

 しかも、英国は接種率が高い“ワクチン大国”だ。昨年12月から、いち早く接種を始め、これまでに成人の半数以上が少なくとも1回の接種を終えているが、大阪では当面、進みそうにない。

 西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)が言う。

「感染者数がケタ違いなので、同列には論じられませんが、英国型変異株の収束プロセスは参考になります。英国は変異株を警戒して慎重に緩和している面がありますが、徹底的な外出制限とワクチンをもってしても、飲食店や映画館が正常化するのに、発令から4カ月半もかかる見込みです。当面、ワクチン接種が進まないことも考慮すると、第4波が9月ごろまで続いてもおかしくありません。逆に、感染が収まりきらないのに、東京五輪など政治的思惑から早期に宣言を解除してしまうと、また同じ過ちを繰り返すだけです。菅政権が飲食店に限定した小手先の対策に終始してきたツケが回ってきているのです」

 自粛の夏休みになってしまうのか。