「緊急事態宣言」の対象地域に16日から、北海道、岡山、広島が加わり、9都道府県に拡大した。感染爆発に歯止めがかからず、入院できないコロナ患者が続出している。医療提供体制の拡充は待ったなしだ。

 今月末に迎える宣言解除の判断を巡り、政府のコロナ対策分科会が最重要視しているのは「リバウンドと医療の逼迫を防ぐことができるような解除の仕方」(尾身会長)だ。ところが、足元の数字は悪化。過去最悪の医療崩壊が目前に迫っている。

 厚労省の資料によると、全国の自宅療養者数は4月7日時点の7269人から、約1カ月で4.7倍の3万4537人にまで急増(12日時点)。コロナ患者が入院できているかを示す「入院率」は全国で23.5%(11日時点)と、25%以下の「ステージ4」(爆発的な感染拡大)に達している。

 とりわけ、医療崩壊を招いている大阪は深刻だ。全国で入院・療養者数がピークを迎えた1月下旬に比べ、現在の自宅療養者数は5.5倍。入院率は9.8%と、全国でワーストである。100人中90人が入院できない。

■「入院率」は8都道府県がステージ4

 問題は、大阪の“悲劇”の「二の舞い」になりかねない地域が、いくつもあることだ。

 宿泊療養者、自宅療養者、確認中の人を合わせた「入院できていない患者」は全国で約5万4000人(12日時点)。1月下旬の第3波のピーク時に比べ、31道府県で増加し、「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」が発令されていない地域でも11.6倍(大分)や6.3倍(福島)、3.1倍(鹿児島)などと悪化。全国では0.99倍と、第3波レベルの惨状に近づいている。

 入院率も大阪以外に、神奈川、愛知、京都、兵庫、岡山、広島、福岡、宮崎の8府県がステージ4、15都道県がステージ3に到達している(11日時点)。入院できていない患者が全国にあふれているのだ。

 西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)がこう言う。

「昨年末から自宅療養者が亡くなるケースが問題となっているのに、政府は感染拡大も抑えられず、医療体制の整備も追い付いていません。『切り札はワクチン』などと、感染防止対策にサジを投げ、成り行き任せの状態です。無策のままでは、インド株も流入しているので、第3波を超える医療崩壊に見舞われる恐れがあります」

 適切な治療を受けられない患者に、菅政権は顔向けできまい。