ワクチン先進国で感染再拡大が相次いでいる。16歳以上の8割が少なくとも1回目の接種を終えたイスラエルでは21日、1日の新規感染者数が約2カ月ぶりに100人を突破。同水準の接種率を誇る英国でも、約4カ月ぶりに1日1万人を超えた。ワクチン接種の“優等生”を蹂躙するのは、感染力最強のインド株。無策の果てに「ワクチン一本足打法」の菅政権に東京五輪を感染爆発から守れるはずがない。

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 英国はインド株による感染爆発がとりわけ悲惨だ。今年1月の6万人超から4月下旬には2000人前後まで1日の新規感染を抑え込んだが、先月下旬から急拡大。約2カ月で5倍に膨れ上がった。

 今月11〜13日にG7サミットが開かれた南西部コーンウォール地方では感染者が急増。会場近くのセント・アイヴスでは、人口10万人あたりの新規感染者が13日までの1週間で前週比2450%も増えた。

 英国内では「G7がウイルスをまき散らした」との声が上がり、国際イベントがもたらす感染リスクが顕在化した可能性が高い。現地の惨状は五輪を控えた東京への「警報」だ。

 英公衆衛生庁は新規感染の99%をインド株と分析。改めて、その破壊力を実感させられる。医療ガバナンス研究所の上昌広理事長がこう言う。

「英国が主に使用しているファイザー製ワクチンは、インド株に対して感染予防効果が落ちるとの指摘もある。英国の感染状況はその実証例だと思います。ワクチン接種で後れを取る日本でインド株がまん延すれば、英国より大きな感染爆発に見舞われる恐れがあります」

 世界各国で「神話」が崩れつつあるのに、菅政権は相変わらずワクチン頼み。「切り札」「感染予防効果が期待される」と繰り返すが、2回接種を終えたのは総人口の8.2%に過ぎない(22日時点)。「安全・安心な五輪」を強調する割に、インド株の脅威にはほぼ“丸腰”だ。

昨年と同じ夏場流行の兆し

 実際、都内のインド株の増え方は驚異的だ。5月24日時点で5例だったのに、今月21日には43例に急増。約1カ月で8倍だ。五輪開幕までにはさらに膨れ上がるに違いない。

 その影響か、都内の23日の感染者は619人に上り、前週同曜日より118人増加。600人超は25日ぶりだ。直近7日間平均も1日あたり422.7人に増え、前週比109.9%。完全にリバウンド傾向だ。

 さらに緊急事態宣言明けの人流増が再拡大に拍車をかける。東京駅や新宿駅、渋谷センター街周辺などは、軒並み人出が増えている。

 ワクチン神話の崩壊、インド株急増、歯止めのかからない人流増――。“3重苦”にあえぐ中、五輪を開けば感染爆発からは逃れられない。

「昨年も今ぐらいの時期から第2波が襲い、8月初旬にピークを迎えました。現在も昨年と同じく、夏場の流行の兆しを見せているのです。このまま感染拡大が続くと、五輪にピークを迎えるでしょう」(上昌広氏)

「安全・安心」の五輪開催なんて、土台ムリな話。開幕前の宣言発令すら現実味を帯びてきた。