飲食店の悲鳴が聞こえる――。新型コロナウイルスの新規感染者数はようやく減少傾向。政府はワクチン接種が広く行き渡る11月ごろをめどに行動制限を緩和する予定だ。飲食店は、時短営業や人数制限が緩和されるほか、「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」の適用地域でも一定の条件を満たせば酒類提供が認められる方向だ。

■ただでさえ市場は半減

 自粛の長期化で飲食店の経営は壊滅的だ。リクルートによると、昨年度の3大都市圏の外食産業の市場規模(推計)は前年度比44.8%減の2兆1630億円と半減近くに縮小する中、飲食店にとっては待望の行動制限の緩和だが、出はなをくじく「三重苦」が待っている。

【食材の高騰】

 貿易統計によると、今年4〜7月の牛肉の輸入価格は昨年度比15%上昇している。

「牛肉に限らず、中国や米国の経済回復に伴い、外国肉の価格が高騰しています。それにつられて、国産肉の価格も上昇傾向です。当面は高値で推移すると思われます」(農畜産業振興機構畜産流通課)

 輸送するコンテナ不足やバイオ燃料の需要増もあって大豆も高騰。大豆原料の食用油について、日清オイリオグループは11月から今年4度目となる値上げを発表している。輸入小麦の売り渡し価格も10月から19%引き上げ。年明けごろには、製粉会社は値上げを避けられないだろう。

 加えて天候不順が災いし野菜価格も上昇の一途。足元のレタスやハクサイの価格は平年比2倍超だ。原油価格も高止まりが続き、光熱費や輸送費の負担ものしかかる。

【人件費】

 リクルートによると、8月の3大都市圏のバイト時給は前年同月比1.4%アップ。10月からは最低賃金が全国平均28円(引き上げ幅3.1%)引き上げられる。

【回転率】

 飲食店に、コロナ前の客足が戻るとも限らない。

「政府が行動制限を緩和しても、店の判断で客同士の間隔を空けたり、入店人数を減らすなど感染対策を実施せざるを得ない。どうしても、客回りが悪くなり、回転率の悪化は避けられない。食材高騰や人件費増のコストアップも加わり、緩和後も飲食店の経営は厳しいでしょう。『緩和したから後は自助』ではなく、経営が軌道に乗るまでコロナ前と比較した減収分を補填するなど、国や自治体のサポートが必要です」(経済評論家・斎藤満氏)

 ただでさえ危機的な外食市場をこれ以上、縮小させてはいけない。