連日、メディアジャックしている自民党の総裁選。世論調査では、依然、河野行革担当相がトップだが、ここにきて勢いがしぼみつつある。人気者を味方につけ「楽勝」と思いきや、陣営は焦りを募らせている。

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 河野陣営の焦りの原因は、議員票の伸び悩みだ。選挙コンサルタント会社「ジャッグジャパン」の調査(22日時点)によると、自民党議員全382人のうち、投票先が判明しているのは258人。岸田前政調会長が91人、河野氏80人、高市前総務相66人、野田幹事長代行21人だった。当初、泡沫だとみられていた高市氏に詰め寄られている。

 頼みの綱である党員票も微妙だ。読売新聞が18〜19日、党員・党友に投票先を聞いた電話調査では、河野氏が41%、岸田氏22%、高市氏20%、野田氏6%という結果だった。河野陣営が最低目標にしていた50%にも届いていない。国民から人気がある石破元幹事長と小泉進次郎環境相がバックについたのに思ったほど伸びていない状況だ。

 河野氏は1回目の投票で過半数を獲得。決選投票に持ち込ませず、一発で勝負を決める腹だったが、このままでは決選投票が濃厚だ。

「1回目の投票では、河野氏が1位で、2位と3位に岸田氏、高市氏の両氏がつけるとみられています。ただ、決選投票では『2位―3位』連合で、河野氏は逆転される可能性が高い。『2位―3位』連合を阻止するためには、河野氏は1回目の投票で党員票で他候補を圧倒するしかない。もし、6割程度獲得できれば『2位―3位』連合で逆転しようとしても『党員の民意を軽視するのか』と批判が巻き起こるはずです。逆に、5割を下回ると『2位―3位』連合に対して異論は出づらい。党員票で55%を奪えるかどうかが分水嶺になるでしょう」(自民党関係者)

 さらに、ネットでの河野氏への「バッシング」も激化している。4年前のASEAN+3外相会議で、中国の王毅外相と河野氏が並んで毛沢東バッジをつけている画像がSNSで拡散。さらに、河野氏が過去、駐日米大使との会合の場で、尖閣諸島について「あんな石ころのような尖閣諸島で日中関係にひびが入るくらいならくれてやればいい」と発言したとの情報もSNSで流れた。

 いずれも事実無根のようだが、「高市さんの支援者か、“原子力ムラ”の関係者が意図的に流したのでは」(永田町関係者)と囁かれている。河野氏は「ガセネタだ」「フェイクニュースだ」と大慌てで火消しに走るドタバタぶりである。

ビジョンが詰め切れていない

 討論会では候補者3人から「集中砲火」を浴びている。打ち出している年金制度改革や原発政策について、「無理」「不可能」と攻撃されている。このままでは、さらに勢いがしぼんでいくのは必至だ。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。

「原発と年金を巡る河野氏の発言は、歯切れが悪い印象です。『核燃料サイクル』の否定は、事実上『脱原発』を標榜しているに等しい。ですが、一般の人には理解しづらい内容です。以前はハッキリと脱原発を打ち出していたのに、トーンダウンしているように聞こえます。年金制度改革についても、基礎年金の財源は“全額税負担”としていますが、消費税率をアップさせるのか、アップさせるなら何%なのか具体的な説明がない。『再分配』を強く打ち出す岸田氏のビジョンの方が分かりやすいでしょう。出馬表明当初の河野氏の支持は高かったですが、訴えが中途半端では失速するのも仕方ない。今後も支持が離れていく可能性があるでしょう」

 たとえ中身を詰めていなくても、耳当たりのよい政策をブチ上げれば、支持は広がると計算していたのだろうが、中身を詰めていなかったツケが回ってきた形だ。今頃「こんなはずじゃなかった」と思っているに違いない。