自民党総裁選(29日投開票)は終盤に入り、激しいデッドヒートが繰り広げられている。中でも凄まじい運動量なのが、追い上げる高市早苗前総務相の応援団だ。敵視する河野太郎ワクチン担当相への口撃はヘイトまがい。箸の上げ下ろしにまでケチをつけかねない勢いで、周辺はドン引き。結果がどう転んでも禍根を残すことになりそうだ。

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 コロナ禍を理由に中止に追い込まれたものの、高市氏の熱狂的支持者らはデモ行進を企画するなどとにかく精力的だ。

「良識が疑われる行動に出ている高市応援団の多くは、党員でも党友でもない。いわゆる“ネトウヨ”と呼ばれる急進的な人たちで、勝手連的に集まって『高市総理』誕生の機運を高めようと躍起になっています。彼女の出陣式にも複数参加し、〈デモをやろう〉とその場で大盛り上がり。イメージ悪化を懸念した陣営側が〈やめてください〉といさめても、聞く耳を持たなかったそうです」(自民党関係者)

■主戦場のネット席巻

 中韓蔑視が骨格の高市氏シンパの主戦場はネット世論だ。日経新聞によると、総裁選日程が決定した先月26日以降のツイッター投稿をNTTデータの言語分析ツール「なずきのおと」で分析したところ、高市氏関連のツイートが多くの日でトップ。河野氏、岸田前政調会長、野田幹事長代行が続いたという。告示日の17日は「高市」を含む書き込みが42万件程度に達したというから目を見張る熱量だが、褒められたものじゃない動きも目立つ。河野氏への過剰なまでの敵意ムキ出しである。

 河野氏は昨年の女系天皇容認発言で高市氏シンパを刺激。出馬表明で旧日本軍の慰安婦問題への関与を認めた実父の「河野談話」踏襲を明言したことから、〈日本の恥〉〈日本の名誉を取り戻すつもりはないのか〉〈こんな男が総理になれば日本は終わる〉などと連日悪しざまに罵られている。

 河野氏の弟が経営する「日本端子」が中国で展開する合弁企業もヤリ玉だ。中国共産党から便宜供与を受けているとの疑惑も飛び交い、河野氏は「媚中派」とレッテル貼り。岸田氏や野田氏に対する批判的な書き込みと比べると、質も量も突出している。見かねたのか、マズイと思ったのか、高市氏は20日、自身のフェイスブックで次のように呼びかけたが、効果薄だ。

〈悲しいことに私の元に、高市支持者が他候補への政策批判を超えた罵詈雑言を発する行動があると多数報告を受けております。総裁選は議論していく場でもあり、例え正反対の意見であっても尊重しあう場です。各候補者も、その支持者も決して敵ではありません。他候補への誹謗中傷や恫喝や脅迫によって確保される高市支持など私は要りません〉

 裏を返せば、高市氏支持者の恫喝や脅迫が常態化しているということか。

 しかし、ネトウヨ界のカリスマがお墨付きを与えた以上、秩序を失った「錯乱」は止まりそうもない。政権を2度もブン投げた安倍前首相がキングメーカー気取りで高市氏支持を前面に打ち出し、影響力を見せつけようとしたのがそもそもの始まり。「日本の尊厳と国益を護る会」の代表で、高市氏の推薦人に名を連ねる青山繁晴参院議員も河野氏陣営の対応をネットで猛批判。「質問書」への回答がないと大騒ぎし、同調を呼びかける“犬笛”を吹いている。

「高市陣営としても、応援団の暴走にホトホト手を焼いている」(前出の自民党関係者)というが、時すでに遅しだ。