「告示前後には『河野総裁だ』と言っていた中堅議員が、先週後半になって『やっぱり高市さん』と支持を変えた。安倍さんのモーレツ電話が効いている」

 岸田陣営の幹部は、こう言って頭を抱える。

 29日に投開票が迫る自民党総裁選。安倍前首相が高市前総務相へ過剰に肩入れしていることが、保守系の党員・党友票だけでなく、議員票にも影響を与えている。

 26日付の西日本新聞は、安倍前首相が国会内の自身の事務所にこもって党所属議員に電話で応援依頼をしたり、高市の服装やメークに「ダメ出し」までする「軍師」ぶりを報じていた。安倍前首相からの高市応援依頼に従うかどうかは、一種の踏み絵。安倍氏は周囲に「首相時代、どれだけ選挙の応援に行ったか。(向こうから)裏切られるようなことがあったら、こっちから縁を切る」と言い放ち、議員らを震え上がらせている。

自民党総裁選は“何でもアリ”の醜悪に

 だが、高市氏の支持が広がりすぎて岸田氏が3位に沈み、「河野vs高市」の決選投票になったら、岸田陣営の票は高市氏へは行かず、河野勝利となる可能性が高い。

「さすがに安倍さんもそうなる恐れを察知し、先週金曜までに高市支持の『撃ち方やめ』の号令を掛けたようです。高市さんもここまで善戦したのですから大満足で納得している。ただ、気になるのは、あと2日で間に合うのかどうか。党員の多くが既に投票を済ませている。高市氏支持に回っていた議員票を岸田さんへ動かすのか……」(永田町関係者)

 河野陣営は「河野vs高市」の決選投票ならニンマリだ。26日のフジテレビの番組で、司会者が「河野陣営が高市氏に票を融通する動きがある」と解説すると、河野氏は「ひどいフェイクニュースだ」と抗議する一幕があった。

 しかし、総裁選を巡って怪情報が飛び交う中、河野氏がムキになるほど疑惑は深まる。実際、二階幹事長は、党役員任期の改革を叫ぶ岸田氏の勝利だけは許さないとされ、二階派が高市氏に票を回すという情報も流れている。

 総裁選は最終盤に入り、何でもアリの醜悪。安倍前首相の「撃ち方やめ」号令の結果、岸田氏が決選投票に進み勝利すれば、安倍氏の手柄だ。この国はいつまで“安倍天下”が続くのか。ますますこの後の衆院選が重要になっている。