投開票まで残り2日となった自民党総裁選をめぐり、各陣営の駆け引きが激化している。焦りを強めているのが、イの一番に名乗りを上げた岸田文雄前政調会長だ。選挙戦が本格化するにつれ、旗色が悪化。決選投票に残れるか怪しくなるほど追い込まれ、二階幹事長を懐柔する究極の日和見プランまで浮上しているという。

 当初の岸田氏はイケイケだった。デカい顔で居座る二階氏を狙い撃ちした党改革案をブチ上げ、落ち目の菅首相の向こうを張って本命視された。ところが、追い詰めすぎた菅首相がマサカの退陣表明。代わって河野太郎氏ワクチン担当相が参戦し、最右翼の座を奪われた。揚げ句、森友疑惑の再調査をにおわせたことに頼みの安倍前首相がキレ、高市早苗前総務相を全面支援。高市氏にまで国会議員票や党員・党友票も奪われ、3位に沈みかねない情勢だ。決選に望みをつないで河野を倒すシナリオが狂ってきている。

■浮上する党役員人事先送り案

「ダメ押しになったのが二階幹事長の動向です。岸田憎しの幹事長が高市氏支援に回るとの情報が先週、永田町で駆け巡った。そうなれば、3A(安倍、麻生財務相、甘利税調会長)らの支援を受けて決選で勝ち抜く岸田陣営のプランはパー。目も当てられません。岸田さんが何とか2位に踏みとどまり、総裁の座を射止めるには幹事長に矛を収めてもらうしかない。それで浮上しているのが、党役員人事の衆院選後先送りです。新内閣発足を華々しく演出する閣僚人事と比べ、党役員人事は地味。世間はさほど関心を示さないし、目前に迫る衆院選投票を戦うには執行部の骨格を残した方が安定するとの方便も使えなくはない」(自民関係者)

 かつては安倍氏に禅譲をチラつかされ、総裁選出馬を断念。今は急伸する高市氏の影におびえ、敵基地攻撃能力の保有に前のめり。推進派だったはずの選択的夫婦別姓には後ろ向き。胆力のない岸田氏らしいと言えばらしい戦略だ。

「岸田さんが不明を恥じる形を取れば、嗅覚の鋭い幹事長のことだからアッサリ翻意する可能性大。影響力を少しでも残せる選択をするでしょう」(前出の自民関係者)

 どこもかしこも個利個略だ。