阪神の岡田監督は2日前の屈辱が脳裏をよぎったのではないか。

 昨26日の阪神戦で一軍復帰したばかりの巨人・菅野智之(34)が六回までノーヒットノーランに抑える快投。体調不良で登録抹消されていた影響を感じさせず、力のある直球とキレのあるスライダー、フォークを織り交ぜ、出した走者は二回2死からノイジーに与えた四球のみ。24日に88年ぶりとなる阪神相手のノーノーを達成した戸郷を彷彿とさせる投球だった。

 七回に初安打から3連打を浴びて1失点。6回3分の1を3安打1失点で降板したが、この好投が貧打の攻撃陣を奮起させたか、九回に4番・岡本のソロ本塁打で同点に追いつくと、延長十回に丸の犠飛で勝ち越した。

 交流戦前最後の試合を逆転でものにした阿部監督は菅野について、「病み上がりだったけどよく投げてくれた。スライダー、カットボールも制球が良かったし、要所で真っすぐもしっかりゾーン内で勝負できていた。その辺が良かった」と目を細めていた。

 巨人OBがこう言う。

「ソフトバンク戦でスタートする28日からの交流戦で、菅野は通算30試合で12勝13敗、防御率2.70の成績を残している。右肘痛で出遅れた昨季は一軍初登板となったソフトバンク戦でシーズン初勝利を挙げるなど、パ球団との対決で1勝1敗、防御率2.45と復活の足がかりをつくった。今季ここまでの防御率1.38は、規定投球回数に達していないとはいえ、エースの戸郷やチームトップで1.46の山崎伊をしのぐ安定感です。ベテランだけにパのデータも蓄積されているし、初めて監督として交流戦を迎える阿部監督が最も頼りにしているのがこの菅野。当初、阿部監督は菅野の登板間隔を空けて慎重に起用する方針でしたが、このまま中6日を基本に、いけるところまで起用する方針になったようです」

 昨季は4勝8敗で「菅野は終わった」と揶揄された。肘や肩、腰に不安を抱えるものの、元エースは交流戦もフル回転することになりそうだ。

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 そんな菅野はメジャー挑戦を断念したことでより一層強まっている「野望」があるともっぱらだ。2017年から2年連続で沢村賞を受賞するなど多くの名誉を手にしてきた菅野が抱えるものとは…。

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