東京五輪男子マラソン“第3の男”へ 大迫と設楽は今後どう動く?

東京五輪男子マラソン“第3の男”へ 大迫と設楽は今後どう動く?

 陸連にとっては、予想外の結果だったのではないか。

 20年東京五輪のマラソン代表を決める男子のMGC(マラソングランドチャンピオンシップ=15日)は、中村匠吾(27)が2時間11分28秒で優勝。2位の服部勇馬(25)までが代表に決まった。日本記録(2時間5分50秒)保持者の大迫傑(28)は、残り3キロのスパートについていけず3位に終わり、ファイナルチャレンジ3レースの結果待ちとなった。

■中村、服部は本番で表彰台に上がれるのか

 レースを観戦したソウル五輪マラソン代表の新宅雅也氏(SDコーポレーション所属)は、中村の勝因についてこう言う。

「中村は仕掛けるとか、先頭に立つとか、無駄な動きを一切しなかった。ゴールまで残り3キロになってロングスパートをかけ、『4強』といわれていた大迫、服部を振り切った。無名といわれる中村だが、昨年9月のベルリンでも4位に入った実力者。その半年前のびわ湖毎日では、20度近い気温に湿度も約70%と暑い中、2時間10分51秒(日本勢1位の全体7位)でただひとり、MGCの出場権を得た。暑い中でのレースに自信を持っていたことも、精神的に有利だった。フィニッシュ時は29度近い気温の中、中村に8秒遅れの服部の粘りも大したものです」

 ならば、この2人は本番でメダルが狙えるのか。

 ある陸上関係者は、「それは別問題です」と言って、こう続ける。

「日本の男子マラソンは低迷期が長い。それでも国民は五輪代表にメダルを求め、マスコミも過度にあおる。本番が近づくにつれて選手の重圧は増すばかり。それで体調を崩す者もいる。おそらく陸連は、設楽と大迫ならメンタルも強いし、2人とも代表入りしてくれるのがベスト、最低でも1人は入ると思っていただけに誤算だった。MGCの中村はレース前の作戦が見事にはまった。しかし、本番ではアフリカ勢が給水ポイントなどで、何度もペースの上げ下げを行い、ライバルのスタミナを奪おうとする。東京五輪では37キロからのきつい坂を考え、一定のペースを守りつづけることはまず無理です。中村、服部がアフリカ勢のスピードの変化に対応し、最後の坂で勝負に出るだけの力を残せるかといえば、今は厳しいと言わざるを得ない」

■陸連の期待裏切った「1億円」の大迫と設楽はどう出るか

 ならば、MGCで代表切符を獲得できなかった設楽と大迫は今後、どう動くのか。

 前出の新宅氏はこう見ている。

「大迫は、今後のファイナルチャレンジ(12月福岡、3月東京、同びわ湖)の3レースで誰かが2時間5分49秒以内という日本記録を出さなければ代表に決まる。これは今の男子ではかなり厳しい条件です。おそらく大迫はファイナルには出ないと思う」

 日本のマラソンに深く関わってきた元陸連専務理事の帖佐寛章氏にも聞いた。

「設楽は昨年の東京で2時間6分11秒の日本記録(当時)を出した。今の東京のコースはきつい坂がなく記録が出やすい。今回は大逃げ策が失敗したが、天候が崩れなければ2時間5分台は可能だ。3月の東京マラソンで、日本記録更新で五輪代表になり、2度目の1億円(=マラソン日本記録の報奨金)も手にするつもりだろう。設楽が東京に出ると明言したら、大迫はライバルが記録を出さないことを望んでいないで、悔いを残さないためにも直接対決で代表を勝ち取るべきだ。そこまで約半年ある。東京を走っても冬場のマラソンは体力の回復も早い。大迫でも5カ月後の五輪に間に合う」

 ファイナルで2強がぶつかれば、俄然注目度は増す。そうなれば陸連の思惑通りだが、大迫の決断やいかに。


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