矢野阪神が優勝に向けた「切り札」を投入した。

 23日、打撃不振で二軍降格していた怪物新人・佐藤輝(近大)が一軍昇格。早速、中日戦に「七番・右翼」でスタメン出場した。2打席目に右翼ポール際への大飛球を放つも、ビデオ判定でファウルに覆るなど4タコ。チームは2点リードの最終回に守護神のスアレスが同点に追いつかれ、引き分けに終わった。

 35打席連続無安打とスランプに陥った佐藤輝は、10日に二軍降格。当初、矢野監督は最短10日間での再昇格を否定し、特別扱いはせず、他選手との競争を強調していた。佐藤輝もまだ本調子とはいえない状況だったが、中軸のサンズ、大山の不振もあり、貧打は深刻。優勝争いの重圧がかかる中、佐藤輝を緊急昇格させた。

「しかし、それで勝てるかどうかは話は別。首脳陣は佐藤輝をうまくケアしきれていません」と言うのは、球界OBだ。

■DeNA牧のサイクル安打を佐藤が“アシスト”

 連続無安打が続いていた8月25日のDeNA戦。相手の牧(中大)がサイクル安打を決めたが、評論家やファンからは、「佐藤輝の緩慢守備が記録をアシストした」との声が出た。牧は、残すは三塁打のみという最終5打席目で右翼線へフライを打った。佐藤輝はファウルと判断したのか、途中で打球を追うスピードを緩めたことで捕球できず、線上で跳ねた打球に頭を越され、三塁打となった。

「矢野監督は試合後、『あのプレーは全力でやったのか』という感じで佐藤輝を叱責したそうです。確かに緩慢プレーと言われても仕方なく、叱るのは当然でしょうが、問題はその後のケアです。佐藤輝はあくまで新人であり、大学時代の本職は三塁で右翼は不慣れ。深刻な打撃不振に陥る中、自分自身へのふがいなさもあり、いよいよ精神的に落ち込んでしまったといいます」(前出のOB)

 佐藤輝はその後も無安打が継続。井上ヘッドは、「荒療治がいいのか、それとも遠くから見守る、星飛雄馬の姉ちゃんの方がいいのか。何がいいんだろうかというところを、僕らも模索はしている」と発言したこともある。首脳陣がハンドリングに逡巡する中、怪物新人が袋小路にハマり込んでいった可能性も否定できない。

 佐藤輝に限らず、阪神の選手はスランプに陥ると、復活までのスパンが長い傾向がある。ルーキーに過度の重圧をかけるのもどうかと思うが、最終的に優勝できるかどうかは、何より一軍首脳陣の手綱さばきにかかっている。