将棋の藤井聡太叡王(竜王・名人・王位・王座・棋王・王将・棋聖=21)が同学年の伊藤匠(たくみ)七段(21)の挑戦を受ける、第9期叡王戦5番勝負第2局が20日、石川県加賀市「アパリゾート佳水郷」で行われ、先手の伊藤が藤井を破り、対戦成績を1勝1敗のタイに持ち込んだ。

対藤井戦は11連敗だった伊藤が悲願の1勝を挙げた。第3局は5月2日、名古屋市の「名古屋東急ホテル」で行われる。

藤井は昨年9月の王座戦5番勝負第2局からタイトル戦の連勝が「16」でストップ。故大山康晴15世名人が1961年(昭36)〜62年度に達成したタイトル戦最多連勝記録「17」に62年ぶりに並ぶことができなかったが「それ自体は仕方がないことだと思う」と淡々と話した。

ともに02年生まれの同学年対決。両者のタイトル戦での対決は竜王戦、棋王戦に続き、3度目となった。先手の伊藤が角換わりに誘導すると、藤井は開始早々、趣向を見せた。年に数局ずつ出現する「3三金型の角換わり早繰り銀」を選択した。変化球で伊藤の作戦を外す「新戦法」。公式戦438局目で採用したのは初めて。「やったことがなかったので、やってみようと思っていた」と“秘策”だったことを明かした。

難解な中盤を経て、両者とも持ち時間の4時間を使い切って1分将棋となり、超ハイレベルな攻防戦となった。最終盤は相手の猛攻を必死に受け、逆転を狙ったが、届かなかった。

「こちらから動いていく将棋だったが、手厚く受け止められて、最後はきっちりとカウンターを決められた」と振り返った。

第3局に向け「気を取り直して、しっかりと準備をしたい」と前を向いた。