上川陽子外相は18日、静岡県知事選(5月26日投開票)の自民党推薦候補の応援演説で、「(知事選出馬に)一歩踏み出していただいたこの方を、私たち女性がうまずして、何が女性でしょうか」と発言した。

自民推薦候補を新しい知事として、女性有権者の力で「生み出す」という趣旨の発言とみられるが、「うまずして、何が女性でしょうか」というくだりは女性の出産を想定させる側面が否めず、自民党内外からも批判の声が出ている。

上川氏は19日、静岡市で報道陣の取材に「私の真意と違う形で受け止められる可能性があるとの指摘を真摯(しんし)に受け止め、撤回する」と述べ、発言を撤回した。

上川氏は静岡1区選出で当選7回。静岡市生まれで東大を経て米ハーバード大大学院を卒業。三菱総合研究所研究員などをへて、2000年6月衆院選で初当選。この時、自民党員だったが自民党公認候補がいる中で無所属で出馬、当選したことで除名処分を受けた経験がある(01年に復党)。第1次安倍内閣で初入閣し、少子化担当相などを担当。第2次安倍内閣で2度目の法相を務めていた2018年7月、麻原彰晃こと松本智津夫元死刑囚らオウム真理教元幹部13人の死刑を執行したことでも知られる。

解散が決まった自民党岸田派(宏池会)所属で、昨年9月の内閣改造で外相に就任した。娘2人を持つ母親でもある。

「手堅いが地味」という評価だったが、今年1月、自民党の麻生太郎副総裁が講演で「俺たちから見てても、このおばさんやるねえと思った」「そんなに美しい方とは言わんけれども」など、上川氏の容姿に言及しながら、政治手腕を評価した。麻生氏はその後、発言を撤回。これを受けた上川氏が会見で「さまざまなご意見があると承知している。どのような声もありがたく受け止めている」と論評を避けたことには賛否両論あり、話題になった。

ただ、この麻生氏の発言で逆に知名度が上がった形になり、その後の各報道機関の「次期首相候補」アンケートで上位に名を連ねるようになった。今では、「女性初の総理大臣」に期待する声も出ている。