岸田文雄首相は20日の衆院予算委員会で、自民党安倍派の裏金事件を受け、かつて前身派閥・森派の会長を務めた森喜朗元首相への再聴取について「考えていないと思っている」と否定した。

立憲民主党の野田佳彦元首相の質問に答えた。

岸田首相は4月上旬、森氏に直接電話で聴取したが「直接関与した証言は得られなかった」と述べたが、森氏は今月10日発売の月刊文芸春秋のインタビューで、首相からの電話で裏金事件についてのややりとりはなかったと主張しており、双方の主張が食い違う事態になっている。

野田氏は「森元総理自身が『(岸田首相から)具体的な質問はなかった』とおっしゃっている。これじゃ調査ではなく、ご機嫌伺いだ」と、首相の対応を批判。「もう1回、再聴取をした方がいい」と促した。

これに対し岸田首相は「雑誌報道の1つ1つについてコメントすることは控える」とした上で「関与の有無についてさまざまな指摘や疑念があり、私から一連の事案と森元総理の関係について、国民のみなさまの関心を踏まえて聴取を行った」と述べたが、委員会室がざわつくと「あのー、えー、うー」と言葉が乱れる場面も。「不記載の慣行などがいつ始まったかなど、私自身直接伺いました。その上で、森総理の具体的関与は確認できなかったと申し上げている」「推測の域を超えて具体的な森元総理の関与の確認はできていないと思っています」と主張し「よって、再聴取等は考えていないと思っております」と、野田氏の再聴取要求をあらためて拒否した。