「ねじれ補選」が東京で始まった。

東京都議補選は28日、都内9選挙区で告示された。9選挙区は江東区、品川区、中野区、北区、板橋区、足立区、八王子市、府中市、南多摩だが、このうち、中野区、北区、板橋区では、東京都知事選(7月7日投開票)で3選出馬を目指して立候補している小池百合子知事(71)をともに支援する自民党と都民ファーストの会が、それぞれ候補者を擁立し、議席を争う展開になっている。

特に中野区は、自民党の元中野区議、出井良輔氏(51)と、長年小池氏の秘書を務め、都民ファ代表も務めた元都議の荒木千陽氏(42)が対決する、今回の「ねじれ」を象徴する構図。2人の選挙事務所は、中野通りを挟んでほとんど向かい合う至近距離にあり、バチバチの対決姿勢だ。

自民党都連の中には「都知事選より、都議補選で仲間を増やす方が大事」と話す関係者もいる。出井氏の出陣式では、応援に入った山田美樹衆院議員(東京1区)が「今都知事選をやっているが、みなさまの生活にとって、都知事がだれになるかよりもっと大切なのは、中野区の都議会議員がだれになるかということだ」と訴えた。

出井氏も「都知事選がスタートしたが、私たちの暮らしは置き去りになっていませんか。だれとだれが手を組むとかではなく、選挙はみなさんの未来や子どもたちの将来を考えてもらうきっかけになるような政策論争が持たれるのが当たり前」と主張。「補選を通じ、私たちの声で政治が変わるということを実感していただき、政治へのあきらめや政治不信による閉塞(へいそく)感を打破していきたい」とも訴えた。

一方、荒木氏は事務所で開いた出陣式で、昨年5月に出産した長男が886グラムの早産で誕生し、4カ月NICUに入院していたことや、冷凍した母乳を毎日病院に届け続けたことを、涙ながらに振り返った。 「小さく生まれた子どもへの支援が届かなかったという声を聞き、私は当事者でもあるのでこうした声を東京都に届け、支援が届くように制度を変えた。国が動かない中、小池都政の中ではスピード感がある政策実現ができた」と、現都政の子育て支援策を評価した上で「都議会にしっかり戻り、政策をつくることが区民や都民のためになると確信している。たすきをつけてここに立つことは本来は難しかったが、地域のみなさんに支えられた。だからこそ、絶対に勝たねばならない」と決意を語った。

中野区では、共産党新人の長沢和彦氏(62=元中野区議)、無所属新人のマエキタミヤコ氏(60=会社経営)も立候補を届け出た。投開票は都知事選と同じ7月7日。