<広島6−2阪神>◇21日◇マツダスタジアム

阪神近本光司外野手(29)が御礼のマルチ安打だ。

日本野球機構(NPB)は21日、マイナビオールスターゲーム2024(7月23日=エスコンフィールド、同24日=神宮)のファン投票中間発表を開始。昨年両リーグ最多76万超の票を得た近本は、今年もセ最多の2万4696票を集めて根強い人気を示した。先発の村上頌樹投手(25)が5回5失点と崩れた完敗試合で意地の2安打3出塁。セ最速で節目の1万試合を迎える23日も首位でいるために、今日も快音を連発する。

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ただで転ぶわけにいかない。阪神が広島に一矢を報いた。今季4度目の対戦だった床田に対して、2回を除いて7回まで毎回走者を送りながら、要所を締められていた。8回、敵失もからんで無死一、二塁。この試合最大のチャンスで、近本も期するものがあった。

「ノーアウトで6点差だったので、つなぐというのもそうだけど、とにかくヒットを打つことが一番大事かなと思っていた」

1ボールからの2球目をたたいて右前に運んだ。無死満塁とチャンスを広げ、中野の左前打でまず1点。森下も左犠飛で続いて2点をかえした。

初回先頭で四球。3回は1死から左前打で出たが、打線はつながらなかった。4月30日の対戦では打ち崩した床田はやはり難敵だ。

「(対策を)どうしようかなとずっと考えていた。今日はたまたまヒットにはなったけど、次の対戦でそれがまた合うかと言ったらそうではない。そういうところが床田はうまい。僕も変えないといけないし、逆に変えない方がいいときもある」

長いペナントレース。床田らライバルたちとの腹の探り合いは激しくなる。だが近本らが終盤に示した反撃は、次回への布石も含めて光になるはずだ。

御礼の2安打3出塁だった。この日球宴のファン投票中間発表が始まり、近本はリーグ最多の2万4696票を獲得。昨年は最終的に両リーグ最多の76万9587票を集めたが、右肋骨(ろっこつ)の骨折で、無念の辞退を余儀なくされた。

「去年出られていなかったので、今年出られるならしっかり楽しんでいけたらいいなと思います」

19年、21年、22年も選出(20年は中止)。新人だった19年の第2戦では甲子園で先頭打者弾、サイクル安打を達成し、MVPに輝いた。各球団の主力が一堂に会する夢の祭典は、貪欲に自分を高められる場所でもある。

日本一軍団への注目度は今年も高い。広島とは0・5ゲーム差に詰め寄られた。簡単に首位の座を譲るわけにいかない。

▼阪神のセ・リーグ1万試合 予定通りに日程を消化すれば23日の広島戦(マツダスタジアム)で到達する。セ最速で、他の5球団も今季の交流戦中に到達予定。パ・リーグでは今季、西武、ロッテ、ソフトバンクが到達し、ソフトバンクだけが白星で花を添えている。

◆阪神坂本(広島打線の村上対策について)「毎回いろいろなことをしてくるので、いろいろ話して入っていますけど。これが野球。次に勝てるよう頑張ります」

◆阪神森下(5点を追う8回無死満塁で左犠飛)「点差もあったのでヒットでつなぎたかった。明日ああいう場面があったら、しっかり打っていきたい」

◆阪神渡辺(5回に中前打。1軍昇格後、出場5試合連続安打)「(ヒットが)出ると出ないでは、次の日も変わってくる。1日1本を目標にしてやっていけたら」