<日本生命セ・パ交流戦:阪神2−1日本ハム>◇18日◇甲子園

苦しい試合のラストシーン。打席には阪神梅野隆太郎捕手(33)がいた。延長11回1死二、三塁から相手の暴投で決着。通算1000試合出場の節目で、サヨナラ勝ちを呼び込んだ。

「なかなか打てなかったけど、守りで何とかと思っていた。必死に投手陣も頑張ってくれて、何とかつないでいきながらだった。形としては幸運でしたけどね。勝つために自分たちはやっている。守り勝てたのは本当に大きいです」。

5回終了時、記念パネルを掲げ、甲子園のファンに頭を下げた。負ければ貯金0でリーグ4位に沈んだ大事な試合で村上の5回無失点を演出。ブルペン勝負になった6回からも懸命に勢いある日本ハム打線と相対した。

相手ベンチには“恩師”の山田バッテリーコーチがいた。新人時代の担当コーチだ。「今も忘れません。夜遅くまで練習した思い出もある。厳しくしかられたりもした。携わってくれた皆さんに、感謝しています」と思いを込めた。

阪神で4人目の監督となる岡田監督の下でも、成長できた。機を見た采配には今でも感服することが多い。「引き出しが増えました」。交流戦前にふと、タブレットで岡田監督の現役時代の成績を調べた。1639試合。監督としての実績は知っていても、世代的に現役時のイメージは少なかった。「主軸を打ちながらこれだけ出ていたんだ、と。やっぱりすごい人」と、あらためて仰ぎ見た。

入団以来、捕手1本。身長173センチと小柄だがケアの意識が高い。驚異的なブロッキング、強肩、力強い打撃で貢献。阪神で長年、活躍した捕手は多くない。代打などを除く「捕手」だけでの出場は、生え抜きでは田淵幸一や木戸克彦を超えて985試合で1位。こちらもあと15試合で球団初の大台に到達する。

前日17日に33歳を迎えたばかり。「今後もしんどい試合が絶対ある。連敗を少なく、連勝をできるようなチームにできればいいなと思う」。アレンパにこの男は欠かせない。【柏原誠】

▼梅野は阪神生え抜き捕手初の1000試合出場へあと15試合に迫った。通算1000試合中、代打のみの出場が14試合、代走のみが1試合あるため、捕手として試合に出たのは985試合。昨年は71試合でマスクをかぶって捕手通算945試合とし、田淵幸一の917試合、木戸克彦の943試合を抜いて生え抜き最多を更新した。なお、移籍選手を含めた球団最多は矢野燿大の1281試合で、梅野がこの日達成した1000試合は2位に該当する。