<阪神1−1中日>◇26日◇甲子園

阪神佐藤輝明内野手(25)が唇をかんだ。「いや〜、もうね、いったと思ったんですけど、風と甲子園にやられましたね」。0−0の4回2死一塁。中日涌井の初球120キロカーブを前さばきで捉えた。右翼フェンス直撃。特大の先制適時三塁打でチーム18イニングぶりの得点を呼び込んだ。

「ホームランにならずに悔しい気持ちもある」と振り返る一撃。確かに、三塁ベース上では悔しそうな表情も垣間見えた。105打席連続ノーアーチで、自己ワーストを更新し続けてしまっている。甲子園特有の「浜風」に押され、もうひと伸びが足りなかった。

それでも、ドローゲームで貴重な1点をもたらしたのも事実。タイムリーは5月11日のDeNA戦以来、実に1カ月半ぶり。2軍調整をへて、7日に1軍昇格してから44打席目での初打点をあげた。

これで3試合連続安打と上昇気配。7回には左中間への大飛球。凡打でも、左腕斎藤から手応えのある当たりだった。延長11回にも祖父江から左翼ポール際への左飛。打球に角度がつき「いいかなと思います」。惜しかった。惜しいだけに、虎党のため息も漏れた。

延長12回の守備では痛恨のミス。先頭福永のゴロをさばけなかった。1軍再昇格後は12試合目で初失策。それでも仲間が無失点で切り抜けた。今季はすでに23日間の2軍生活を味わった。このまま最後まで主軸として完走するのみ。背番号8のバットが打てばチームも乗っていける。【中野椋】