ドジャース大谷翔平投手は、例年6月に絶頂期を迎えます。今年も6月男が本領を発揮し始めました。17日(日本時間18日)から敵地コロラド州デンバーでロッキーズ4連戦。ホームラン量産に持って来いのクアーズフィールドで試合を行います。

ご存じの読者も多いと思いますが、コロラド州デンバーは標高1マイル(約1600メートル)の高地にあり、別名「マイルハイシティー」と呼ばれています。それだけに空気が薄く、打球が飛び、ホームランが出やすいので「バッター天国」とも言われています。

1993年ナ・リーグに加盟したロッキーズは、強打者を次々に獲得しました。95年にアンドレス・ガララーガ、ダンテ・ビシェット、ラリー・ウォーカー、ビニー・カスティーヤの主力4人による「30本塁打カルテット」が誕生。球場に面した道路名から「ブレイクストリートボンバーズ」と呼ばれ、一世を風靡(ふうび)しました。

また、2015年にデータ解析システム「スタットキャスト」導入以降、16年に当時マーリンズのジャンカルロ・スタントン(現ヤンキース)、22年当時ロッキーズのCJ・クロンが同球場史上最長504フィート(約154メートル)のホームランを記録するなど、超特大の1発が多く生まれています。

21年に同球場で開催されたオールスター前日のホームラン競争では、大谷が初出場。当時ナショナルズのフアン・ソト(現ヤンキース)に28−31で惜敗したものの、歴代4位の飛距離513フィート(約156・4メートル)をはじめ、史上最多の500フィート(約152メートル)超えを6本も記録。また打球速度で上位を独占しました。

ちなみに、1987年6月2日にマイルハイスタジアムで行われたマイナーリーグの試合では、とんでもない大本塁打が出ました。7回裏にブルワーズ傘下3Aデンバーの巨漢スラッガー、ジョーイ・マイヤーがバットを強振すると、巨大なレフトスタンド2階席まで到達する超特大ホームラン。米プロ野球史上最長の推定飛距離582フィート(約177・4メートル)を出しました。

マイヤーは米ハワイ州ホノルル生まれで、今年4月に亡くなった元横綱の曙太郎さんのいとこ。翌88年メジャーに昇格し、ブルワーズに2年間在籍しましたが合計18本塁打止まり。その後、90年横浜大洋ホエールズでプレーし、104試合で26本塁打をマークしました。わずか1年で帰国しましたが、ご記憶にあるファンもいるかと思います。

さて、大谷に話を戻しましょう。思えば、昨年6月は敵地テキサス州アーリントンのレンジャーズ4連戦で、左打者の逆方向弾としては計測史上最速の打球速度となる約187キロなど、4本塁打と大暴れ。6月のア・リーグ打撃部門で、一気に3冠へと浮上しました。

6月も後半に入りましたが、今度は敵地デンバーでホームラン連発などの大爆発となるでしょうか。そして、元日本球界助っ人のマイヤーが放った伝説の1発に負けないぐらいの「マイルハイショット」を期待したくなります。

【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)