<日刊スポーツ新聞社後援 春季高校野球関東大会:白鴎大足利9−2前橋商>◇18日◇第1日◇上毛新聞敷島球場ほか

白鴎大足利(栃木1位)のエース昆野太晴投手(3年)が、前橋商(群馬2位)の清水大暉投手(3年)とのドラフト候補対決を制した。両投手の投げ合いに12球団の幹部やスカウトが熱視線を注ぐ中、初回に自己最速を2キロ更新する152キロを記録するなど7回4安打1失点と好投した。昌平(埼玉2位)は山根大翔外野手(3年)と桜井ユウヤ内野手(2年)の1発などで武相(神奈川1位)に圧勝。東海大菅生(東京2位)東海大相模(神奈川2位)鹿島学園(茨城2位)も初戦を突破した。

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初回から、昆野の闘争心に火がついた。「清水君が真っすぐで押してきた。負けたくないと思いました」。1回裏、2人目の打者へ力を込めて投じた直球が152キロを記録すると、スタンドからざわめきが起こった。「観客の声で、自分も(球速を見て)ビックリしました」と、笑顔を見せた。2回以降はエースとして「気持ちを切りかえた」と、スライダー、カットで緩急をつけ打たせてとった。

昨秋から、チームを勝たせる投球が課題だった。今冬は「一瞬で指にボールがかかるように」と、瞬発系のトレーニングを取り入れた。「8割の力の真っすぐでも空振りをとれるようになった」と、ゾーンを効果的に使い、打者のタイミングを外す。速球もありながら「柔」の投球術で長いイニングを支配した。

最速152キロを生み出す身長180センチ、体重86キロの恵まれた体は母華子さん(43)のたっぷりの愛情で育った。華子さんは仙台育英でバレーをプレー。しかし高1で股関節を痛め、選手生命を断たれた。「ケガだけはさせたくない。丈夫な体に育って欲しかったんです」と、息子が野球を始めてからは手料理に1食10品以上は入れるように。強くたくましく育てられた。

小さいころから「甲子園に出て、プロ野球選手になりたい」と、語っていた夢の実現へ。1歩ずつ近づいている。【保坂淑子】

▽日本ハム・栗山英樹チーフ・ベースボール・オフィサー(昆野と清水について)「2人ともタイプが違うが、これだけの素材感、本当に将来、めちゃくちゃ楽しみです」