現役高校生がプロデビュー。立ち技打撃格闘技イベント「K−1ワールドMAX」が7日、東京・代々木第2体育館で開催される。恵庭北高3年で、昨年の「K−1甲子園」60キロ級王者・上野奏貴(17=SHINYUUKI+)が、スーパーフェザー級(60キロ以下)で上垣内一成(27=月心会ラスカルジム)と対戦。プロデビュー戦で初勝利を目指す。兄の空大(20=SHINYUUKI+)は、プロ4連勝へ河北KONG光生(26=K−1ジム蒲田)に挑む。

上野奏は学校から4月にオープンしたばかりの真新しいジムに戻ると、サンドバッグを拳でたたき、蹴り上げる。追い込み期間中には、兄の空大を相手に、スパーリングもこなした。5日に約2キロの水抜きをすれば、臨戦態勢が整う。「デビュー戦は一生に1度。みんなの想像を超えるようなKOで倒したい」と不敵に言い放った。

3歳で空手を始めた。小学1年生から5年生まで、学年別の極真空手の全国大会で勝ち続けた。昨年の1月にキックボクシングに転向。昨夏のK−1甲子園は東日本大会準決勝で惜しくも判定で敗れたが、全日本大会は3戦3勝で頂点に立った。兄が昨年受賞したK−1アマチュア最優秀選手賞(MVP)を今年受賞し、高校在学中のプロ転向を決めた。兄は「僕は負けが多く、どっちかというと努力で上がってきた。弟は天才だった」と評する。

平常時で67キロ〜68キロのため、リミットまでは約8キロの減量が必要になる。約3週間前から昼の弁当の中身はサラダのみだった。「友だちが、目の前で揚げ物の入った弁当をめちゃめちゃ食べて、見せびらかしたりするんですよ。今はそれがつらい」と苦笑いする。

そんな同級生たちも、東京の会場まで15人ほどが駆けつける。相手はプロ転向後3戦1勝1敗1分けながら、K−1アマチュアAクラスの60キロ以下級で優勝の実績がある。年齢も10歳年上で経験は豊富だ。「(友人が)みんな『全力で会場で応援するよ』って言ってくれているので、誰が相手でも負けられません。将来の目標は世界チャンピオンですが、この試合ではまず、K−1への思いを爆発させます」。兄弟世界王者へ、その第1歩を、代々木で踏み出す。【中島洋尚】