コロナ禍に伴う家ごもりが長引く中、ヒット商品に返り咲いた商品が立方体形でおなじみのパズル「ルービックキューブ」だ。1人でじっくり遊べる点があらためて評価されて、1980年の発売以来というブームを呼んでいる。短期間で人気がすたれることが珍しくないおもちゃ業界で40周年を迎えてなお売れ続けるロングセラーはまれだ。

もともとハンガリーの発明家で建築家のエルノー・ルービック氏が考案した。商品名も彼の名前に由来する。大学で建築学を教えていた当時、3次元幾何学を学生に分かりやすく説明しようと、木で立方体模型をこしらえたのが始まりだという。6つの面にそれぞれ異なる色を塗って回す仕組みを思いついたところから、玩具化の道が開けた。77年にハンガリーで売り出され、玩具メーカー、ツクダオリジナル(現在はバンダイ子会社のメガハウスが販売を継承)がおもちゃ見本市で見付けて、日本に持ち込んだ。

立方体の6面の色をそろえるという、遊び方が直感的に理解しやすいパズルだったのに加え、カラフルな配色、どこでも遊べる使い勝手などが受けて、発売した80年に日本で400万個を売り上げた。国内でのシリーズ累計出荷数は1400万個を超えている。40周年にあたる節目の今年は1年目に次ぐヒットが期待されている。メガハウスのトイ事業部でルービックキューブの商品企画を担当する藤島勇太氏は「コロナ禍で外出を控える人が多かった4、5月は出荷数が前年の2.5倍にのぼった」という。おもちゃ商品はクリスマス時期に売れ行きが伸びるだけに、年末に向けた新たな記念商品の投入も準備が進む。

遊び方がシンプルなので、飽きられてしまいやすいと思われがちだが、「販売を引き継いだ2005年以降、年間出荷数が10万個を割り込んだことはない」という、堂々たるロングセラー商品だ。はやりすたりの激しいおもちゃ業界にあって、40年たっても売れ行きがへたらないのは例外的と映る。理由はいくつかあり、その一つが「競技、スポーツとしての普及」(藤島氏)だ。すべての面の色を、確実にそろえることができるようになった遊び手は「そろえるまでに要する時間を縮めたがるようになるケースが多い」という。

このタイムレース式の競技は、世界キューブ協会が定めるルールに沿った大会が世界各地で開かれるようになっている。日本でも2005年に日本ルービックキューブ協会が発足。国内各地で大会を開いて、腕前を競い合う機会を提供してきた。メガハウスは同協会と連携して、愛好者をサポート。競技を通じたファンづくりに努めている。「技術が上がることをタイムという形で実感しやすいスキルトイの性格は、長く遊び続けるモチベーション維持につながっている」と、藤島氏はみる。

時間を縮めるプレースタイルの「スピードキューブ」を楽しみやすいよう、実は商品そのものにも改良が重ねられている。タイムを左右する要素の1つは、キューブの回しやすさ。軽い力でスイスイ回れば、自然とタイムは縮まる。逆に、余計な摩擦や引っかかりがあると、スピードは鈍る。競技の裾野が広がってきたのを受けて、「回転がスムーズになるよう、内部の構造を見直してきた」(藤島氏)。80年の発売当初は6色の各マス目はカラーシールで彩られていたが、現在は各色のパネルをはめ込んである。シールで手が滑ったり、シールがはがれたりしないので、キューブをしっかり保持しやすくなった。こうした外からは見えにくいバージョンアップが競技人気を下支えしている。