2021年1月1日時点の公示地価が公表され、コロナ禍の影響が全国の地価に及んでいることが浮き彫りになりました。今後はテレワークの浸透と、それに伴うオフィス市場の動向が焦点になりそうです。

最も影響を受けたのは商業地です。中でも大阪は、ホテルや飲食店からドラッグストアなどの小売店まで、インバウンド(訪日外国人)依存度が高かったことから、下落率が2割を超す地点が相次ぎました。

こうした地域はインバウンド頼みの一本足打法からの脱却が急務でしょう。地価が急落した大阪や新宿の繁華街には、中国などの外資が手を伸ばしているともいわれており、街をどう立て直すのかが問われます。

繁華街に比べオフィス街は、下落したとはいえ比較的落ち着いた動きをみせています。これはテレワークをどこまで進め、都心のオフィスをどこまで減らすか、方向性が定まっていない企業が多いためでしょう。

最近のオフィスは数年間の定期借家契約を結ぶことが多いため、すぐには解約が出ないとされます。不動産市場に詳しいオラガ総研の牧野知弘代表は「4〜5年の期間でみて、オフィス市場が今のような高い価格を維持できるかどうかが焦点になる」と話しています。

東京では23年に虎ノ門などに大型のオフィスビルが完成し、オフィスが大量供給されます。これらの動向をにらみながら、コロナ後のオフィスのあり方を考えようとしている企業が多いのではないでしょうか。

住宅地の地価にもコロナ下ならではの動きがうかがえます。テレワークで都心のオフィスに通う機会の減った人たちが郊外に移り住む流れです。

東京23区の住宅地は港区と目黒区を除き、軒並み下落に転じました。その一方で神奈川や千葉、埼玉の東京に隣接する住宅地は底堅く推移しています。

東京は不動産投資の市場としてみると、主要国の都市より高い利回りが得られるとされ、コロナ下の金融緩和で流動性を高めた海外の投資マネーが引き続き入ってきています。こうしたお金は主に、需要が高まっている物流施設やデータセンターなどに投資されますが、一部は都心のタワーマンションなどにも向かいます。