Jリーグ経営力1位はレッズ 19年から観戦初心者席も

Jリーグにはスタート時の熱気が戻っている

Jリーグが熱い。昨年からイニエスタにビジャ、トーレスとスーパースターが続々来日。リーグ創設時の華々しさが戻った。各クラブの経営戦略も進化している。8つの経営指標を基に各クラブのビジネスマネジメント力をランキングした。

■イニエスタらスターが続々

クラブが10から55に増え、発足当初に比べJリーグは格段に身近な存在だ。2016年には英のスポーツ映像配信サービス、DAZNと放映権契約を締結。10年で約2100億円の契約金がリーグを潤す。

九州産業大学の福田拓哉准教授は「発足当時は欧州主要クラブと同等以上に資金力があったので海外の大物が呼べた。放映権による資金流入で選手獲得競争力が戻りつつある」と分析する。

各クラブの17年度の公開情報を基に「平均入場者数」や「新規観戦者割合」など13指標をポイント化して、デロイトトーマツグループがランキングした「Jリーグマネジメントカップ」という資料がある。日経トレンディは、このうち8指標に絞って再計算し、独自のビジネスマネジメント力ランキング(表 全順位は7月号に掲載)を作った。

1位は、Jリーグのクラブ初のアジア王者で昨年の天皇杯を制した浦和レッズ。2位は鹿島アントラーズで、3位は横浜F・マリノスだった。4位にはJリーグ2連覇中の川崎フロンターレが入った。

指標ごとのポイントに注目すれば、上位クラブが仕掛ける戦略が見える。平均入場者数や客単価などでトップのポイントを記録し、ランキングでも1位のレッズだが、実は新規観戦者割合が圧倒的に低い。熱い声援が特徴である半面、観戦初心者が入りづらい環境になっていたからだ。

そこでレッズは今年、「席割改革」を敢行。落ち着いて観戦できる2階席に自由席と同料金の指定席を新設した。

■スマホと連動 楽しみ方広く

2位のアントラーズは客単価やグッズ関連利益額で上位に入り、バランスよくポイントを稼いだ。弱点はスタジアム集客率。これを高めるべく、スタジアムのサービス拡充からアプローチする。17年には高密度Wi−Fiを導入。昨年は、スタジアムの大型ビジョンとスマホを連動させたゲームを実施した。

3位のマリノスは、平均入場者数や新規観戦者割合などで高いポイントをマーク。ただ、スタジアム集客率は下から2番目の低さだった。原因は、巨大過ぎる本拠地。収容人数7万2081人の日産スタジアムを使うため、高い集客力をもってしても席が余る。

そこで、今年から「ダイナミックプライシング」を本格導入した。販売状況に合わせチケット料金が変動。席が余るときは安く、席が足りないときは高く売る柔軟な販売が可能になった。

デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーの里崎慎氏は、「満員のスタジアムはファン、スポンサー、自治体、選手のすべてを満足させる。スタジアム集客率は重要な指標」と指摘する。

ビジネス戦略とチーム成績の関連性を踏まえると、新たな強豪候補も見つかる。北海道コンサドーレ札幌が進めるのはアジア展開。17年にタイでは知らぬ者のない有名選手・チャナティップを獲得すると、アジアで事業を展開する企業から熱視線を浴び、スポンサー収入が激増。18年度の売上高は3年前の2倍超になる約30億円に達した。クラブ最高の4位になった昨年の好成績は必然だろう。

ライザップやサイバーエージェントなど、有力企業のJリーグ参入も相次ぐ。V・ファーレン長崎は、17年にジャパネットホールディングスがグループ会社化したことで経営危機から脱却した。

発足時から地域密着を掲げるJリーグ。選手が地元の学校や病院を訪問するなど、少し探すだけで身近な存在であることに気付くだろう。

(発売中の日経トレンディ7月号から再構成 文・高田 悠太郎)

[日本経済新聞夕刊2019年6月15日付]


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