まさかあの人が… タフネス社員が心を病む3パターン

春の気配が日に日に濃くなる三寒四温の毎日ですが、あなたの心と体はお元気でしょうか? こんにちは、精神科医・産業医の奥田弘美です。

さて、どんな職場にも、「絶対にうつにならないだろう」と自他ともに認める心身ともにタフな人がいるものです。いつも体力・気力ともにバッチリの疲れ知らずで、繁忙期には夜遅くまでバリバリ仕事をこなし、自分の意見も堂々と主張して、ハードな交渉もなんのその。いわゆる「飲みニケーション」もウェルカムで人づきあいも悪くない。休日はゴルフやレジャーに朝早くからアクティブに参加する……。きっと皆さんの職場にも、こういうタフネスぶりを発揮している人がいるでしょう。

しかしどんなにタフな人でも、メンタル疾患にかかる可能性はゼロではありません。私は現在まで精神科臨床とともに30社近い様々な企業に産業医として関わってきましたが、「自分がまさかうつになるなんて思いもしなかった」とショックを受ける患者さんや、「あの人がメンタルダウンするなんて」と上司や同僚が驚くパターンに何度も遭遇してきました。

今回は、私が産業医や精神科医として経験した「タフネス社員がメンタルを病むシチュエーション」を3つのパターンに分けて紹介しつつ、予防のための提言をお伝えしたいと思います(個人情報保護のため、以下に紹介するケースの具体的内容・設定はアレンジしています)。

【パターン1】終わりの見えない過重労働状態に陥ったとき

終わりの見えない長時間労働が続いた場合は要注意。写真はイメージ=(c)ximagination-123RF

タフネス社員は、体力気力に満ちあふれているので繁忙期の長時間残業なんてヘッチャラという人が少なくありません。過重労働面談に呼んでも、「元気なんで大丈夫です」とさっさと退席していく人も結構います。

しかしいくらタフであっても、終わりの見えない長時間労働が発生した場合は要注意です。例えばタフネス社員はビッグなプロジェクトのリーダーに抜てきされたり、社の主要な部署の管理職を任されたりすることが多々あります。しかし往々にしてそういった部署では、プレッシャーや緊張を伴う仕事を任されたり仕事の量が多かったりし、スタッフ全員が慢性的な疲労を抱えがち。順調に仕事が進んでいるときはいいのですが、何か問題が発生したり臨時の案件が突っ込まれたりすると、途端に業務量がキャパオーバーとなり、ストレスに弱いスタッフが病んでしまって戦線離脱する……ということも珍しくありません。

しかし昨今の職場では、人員に欠員が出たとしてもすぐに補充してもらえることが少なく、「働き方改革で若手社員には長時間残業させられない」と、管理職やリーダーが欠員分の仕事を引き取ってこなしていくという事態に陥りがちです。その結果、リーダーたちは毎晩終電で深夜帰宅となり、睡眠不足が常態化。さらに土日にも出勤したり、自宅にいても仕事を続けたり……と24時間が仕事で埋め尽くされることに。リラックスしたり、家族や友人と気分転換したりする時間がなくなり、心身に疲労が蓄積していくのです。

こういう状態が半年以上継続すると、いくら元来タフであってもメンタルか体に異常が出てくる人が多いのです。


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