「動かない生活」は、筋肉に脂肪筋が増える「やせメタボ」だけでなく、死亡率を高めたり認知症やがんリスクにも関わる、アンチエイジングの敵。とはいえ、なかなか運動のための時間を作るのが難しい、という人も多いだろう。「3日坊主の人は歩数をカウントして歩数を増やす、座りっぱなしの人は30分に1回立ち上がり少し動く、といったことによって効果が得られることがわかってきました」と、順天堂大学大学院代謝内分泌内科学・スポーツ医学・スポートロジー先任准教授の田村好史さんは言う。3回目の今回は、私たちが始めるべき「活動量アップ」のヒントと、メタボ化を防ぐ食事について聞こう。

前回(「コロナで『動かない生活』 体力低下で死亡リスク高く」)は、「歩く、動く」ことが死亡リスクや認知症、がんリスク低下につながるという研究結果について紹介した。

「どの年代であっても、肥満の人もそうでない人にとっても、体を動かすことは重要です。なかでも、老化とともに減っていく筋肉の量を維持し、かつ、脂肪筋とならないように筋肉の質を維持していくことがアンチエイジングにつながります」と田村さんは言う。

田村さんは、筋肉を“質”と“量”という両面で考えることを提案する。

「筋肉の質を高めるのが、有酸素運動。量を増やすのが、レジスタンス運動(筋トレ)です」(田村さん)

●筋肉のインスリン感受性を高める。メタボ改善のためには、有酸素運動

有酸素運動とは、体内で酸素を使い、糖や脂肪を燃やしながら行う運動。
早歩き、水泳、自転車に乗ることなどが代表的。

●筋肉の量を増やし、筋力を高める。フレイル予防のためには、レジスタンス運動

筋肉に抵抗(レジスタンス)をかける動作を繰り返し行う運動。筋トレが代表的。
主に筋肉量や筋力をつける目的で行う。基礎代謝量を高め、エネルギーを消費しやすい体を作る。

いずれも実践していただきたい重要な運動だが、多くの人が取りかかりやすいと思うのはウオーキングなどの有酸素運動だろう。とはいえ、「歩くぞ!」と思い立ったものの、ついついおっくうになって三日坊主になりがち……。そこで、田村さんは、「スマホなどで歩数を測る」ことを勧める。

「患者さんがいかに積極的に治療に関わってくれるか、という“アドヒアランス”の効果を確かめた研究があります。この研究によると、『毎日30〜60分体を動かしましょう』と言うよりも『今よりも1日あたり3000歩、歩数を増やしましょう』と指導したほうが、実際の歩数が増え、血糖値の指標であるHbA1cも下がったのです」と言う。

時間よりも歩数で指導したほうがたくさん歩く結果に

2型糖尿病、高血圧の男女347人(平均年齢60歳)に歩数計を手渡した。一方の群には「1日あたり歩数を今よりも3000歩増やしましょう」と指示、もう一方の群には「1日あたり30〜60分体を動かしましょう」という指示をそれぞれ受診のたびに行った。その結果、他群に比べ、歩数を指導した群では歩数は3000歩増には至らなかったものの、1日あたり1220歩増加し、HbA1cに改善が見られた。時間指導群では歩数、HbA1cともに改善が見られなかった。(データ:Diabetes Obes Metab. 2017 May;19(5):695-704.)

成人の場合、10分歩くと1000歩の歩数に匹敵する。「3000歩増やそう」より「30〜60分歩こう」のほうが多く歩いてもよいはず。なのに、どうして歩数を指導した群だけこのように効果が表れたのだろう。