観客と盛り上がる都市型スポーツ 五輪に若者呼べるか

重低音の響く音楽にアクロバティックな演技、開放的な空間で盛り上がる観客――。2020年東京五輪の目玉の一つが、自転車BMX(フリースタイル)やスケートボードなどの「アーバン(都市型)スポーツ」だ。4月に広島市で開かれた国際大会には10万人が来場した。音楽やMC(司会)で観客を巻き込みながら競技を進めるスタイルが、若者を五輪に引き付ける切り札として注目される。

「Make some noise(騒げ)!」。決勝を前にMCがあおると、競技コースが設けられたステージの前に集まった観客が一気にわき上がった。

4月19〜21日、旧広島市民球場跡地で都市型スポーツの国際大会「FISE(フィセ)」が開かれた。欧州では多くの観客を集める大会で、今回は東京五輪でも実施されるBMXやスケートボードなど7種目が行われた。主催者側によると、日本初開催の18年を上回る約10万人(関連イベント含む)が来場した。

特徴的なのが、まるで音楽フェスのような観戦スタイルだ。ヒップホップなどの音楽が流れ、MCが観客に声をかける中で競技が行われる。会場には子供も楽しめる競技の体験コーナー、様々な食べ物の屋台も並ぶ。

音楽フェスを楽しむような観戦スタイル(4月21日、広島市)

入場は原則無料で立ち見となっており、隣接するステージで行われる各種目を気ままに見ることができる。

FISEの日本誘致に尽力した国際体操連盟の渡辺守成会長(60)は「毎年、試行錯誤しながら会場づくりをやっている」。女子BMXフリースタイル・パークで4位だった大池水杜選手(22)は「乗る側(競技者側)と見る側、MCもジャッジも皆で楽しめる」と魅力を語る。

海外選手の技を間近で見た広島市安佐南区の男子大学生(19)は「人間離れした技がすごい」と目を輝かせる。

お目当てはフランス発祥とされる「パルクール」という競技だ。体一つで走る、跳ぶ、登るなどの動作を組み合わせて障害物を乗り越えていく速さや技を競うスポーツで欧米を中心に人気がある。「選手によって技の構成の仕方が違うのもおもしろい」という。

国際オリンピック委員会(IOC)は五輪に若者を引き付ける策の一つとして、都市型スポーツの取り込みを図る。東京大会ではスポーツクライミングなどを導入、24年パリ大会では「ブレークダンス」が追加種目候補の一つだ。

東京大会では、臨海部の江東区有明と青海の仮設2会場で都市型スポーツが行われる。「FISEは参考になる」と有明アーバン会場を担当する大会組織委員会の城子立弥・会場運営担当部長は話す。

ただ五輪では原則チケットが必要で、各競技の日程も重ならないように組まれており、FISEの運営方式の中で取り入れられないものも多い。

組織委は立ち見席や競技の体験ゾーンを競技会場付近に設けることなどを検討している。五輪での来場者も「10〜20代の若者やファミリー層が中心」と見込まれる。城子氏は「来場者が競技者らと一緒になって大会を盛り上げられるような会場にしたい」と話す。

有明と青海をつなぐ遊歩道周辺では大会期間中、聖火が置かれる予定で、五輪を象徴するスポットの一つになりそうだ。有明の会場では競技終了後にスケートボードのコースにペインティングを施し、オブジェに衣替えして公開する構想も浮かんでいるという。

■アーバン(都市型)スポーツ
街中などでも楽しめ、若い世代を中心に人気の新興スポーツの総称。音楽やファッションと融合したスタイルが特徴で、ストリートから発展した種目もある。若者離れが進む五輪のテコ入れ策として国際オリンピック委員会(IOC)が注目。2020年東京五輪では自転車BMXフリースタイル・パーク、3人制バスケットボール、スケートボード、スポーツクライミングの4競技・種目が新たに追加された。

[日本経済新聞朝刊2019年5月14日付]


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