「つばっしー先生」こと沢津橋紀洋さん

ミーキャップです! 福岡で暮らす学生さんたちのミカタになってくれる社会人サポーターからのリポートも始めます。その第1号は「つばっしー先生」こと沢津橋紀洋(さわつばし・のりひろ)さんの連載企画です。それでは、どうぞ!

こんにちは。西日本新聞meでコラムを連載させてもらうことになりました沢津橋紀洋です。現在、福岡県糸島市域と今宿以西の福岡市西区、いわゆる伊都エリアを拠点として、小中高生向けの160人ほどが通うプログラミング教室「e-春風塾」を運営しています。コラムでは、特に中高生や大学生に、プログラミングを学ぶ重要性や楽しさを伝えられたらと思っています。よろしくお願いします。

つばっしー先生

世にプログラミング教育を施している事業者はあまたあると思います。私たちの塾でユニークな点は、いわゆる「先端IT人材」「高度IT人材」の輩出を目指し、本格的なコンピューター言語に早くから親しむような教育を提供しています。これまで、一番早いケースで小学3年でJavaScript、小学5年生でC#という言語の学習を始めています。

このような塾を経営している私に対して「理系バリバリの人物なのでしょう?」というイメージを持たれた読者もいらっしゃると思います。ところがどっこい、私は文学部を2回も(早稲田大学と東京大学。大学に2回通いました)卒業した根っからの文系人間です。

3年前に教室を始めるまではプログラミングなど到底できず、塾を開校してから生徒と一緒に学んで成長してきました。学生時代は哲学、社会学が大好き、数学は大の苦手でした。大学では必修だった統計学が全く分からず、先輩にすがりついてどうにか単位を取りました。

大学時代の将来の夢は哲学者になることでした。そんな私が学校を卒業後、プログラミングを始めたのです。なので、文系の大学生で「いまさらプログラミングを学んでも遅いのでは」と感じている人にも、学習の裾野を広げるお手伝いができたらいいな、と思っています。

さて、プログラミングを学習する道は、2通りがあると思っています。一つは先述したような「先端IT人材」と呼ばれる行き方(生き方)で、数理能力、アルゴリズム能力、コーディング能力をゴリゴリに伸ばしていく方法です。機械学習やビッグデータなど、エンジニアの中でも高度とされる分野に携わり、牽引していく人材を目指す方向です。

「エンジニアが将来不足する」という議論に対し、「実は不足しない」という説もあります。両者はどういう仮説を前提に置くかで結果が変わるので判然としない部分があるのですが、エンジニアの中でも「先端IT人材が不足する」のは確固たる事実であり、そのためにプログラミングの能力の高度化を目指していくことは、個人のキャリアにとっても、また社会的にも価値があることではないかと思います。

一方で、そこまでとがった、突出したプログラミング能力を目指さないエンジニアのあり方もあります。それはもちろん、最近ではITツールが進化し、ノーコード/ローコードと呼ばれるプログラミングを不要とする開発環境が出始めていることも背景にあります。ただ、それ以上に「ITはプログラミングのみにあらず」で、例えば開発のためのリソース(人材、社会・企業システム)の思考や、市場心理・技術への洞察の能力が必要とされているからです。

IT素養はもはやトップ経営者の必須なことの一つにもなりつつあり、これから起きる経営者の世代交代(ITをあまり理解していない世代の引退)を機に、日本の企業社会のさらなるIT化が期待されています。その中で、プログラミングを理解している人材は重宝されるでしょう。

もし読者の方が20代とまだ十分若く、学ぶ意欲に満ちあふれるなら、今からでもプログラミングを学んでみるのもいいかもしれません。

次回以降では、幼い生徒たちがどのようにプログラミングを学んできているかをご紹介します。

ミーキャップ