飯塚歯科医師会の山口章会長が「口腔(こうくう)管理と健康寿命」と題して西日本新聞市民医療講座で講演した。山口会長は「口の中の健康状態は糖尿病などの全身の疾患と関係がある。上手に歯を磨き、健康寿命を延ばしてほしい」と述べた。

 講座は2016年6月、地域貢献活動の一環としてスタート。新型コロナの影響で中断し、昨年5月に再開した。26回目となる今回は今月11日に飯塚医師会館講堂(福岡県飯塚市吉原町)であり、41人が参加した。

 山口会長は、口の中には300種以上、500億〜1兆個の細菌が潜んでいると指摘。「歯周病は細菌が歯と歯茎の間の溝に入り込んで炎症を起こす感染症」と説明した上で、「全身の疾患とも関係があり、心筋梗塞や動脈硬化、骨粗しょう症のリスクを高めることが知られている」とした。

 細菌の塊が歯垢(しこう)と呼ばれ、時間がたつと表面にネバネバした膜をつくる「バイオフィルム」に変化することも紹介。「排水口のぬめりと同じような状態で、こうなると定期的に歯科医院で剥がす必要がある」と話した。

 口内の細菌が唾液や飲食物と一緒に気管に入って肺に炎症が起こる「誤嚥(ごえん)性肺炎」についても解説した。予防には、歯磨きなどの口腔ケアが有効で、しっかり続ければ肺炎での死亡率が6割低下するとのデータも紹介。歯を失って義歯も使わない人ほど、認知症や要介護になるリスクが高まるとの調査結果も示した。

 「しっかりかむことは記憶力や運動能力の維持、肥満予防にもつながる。歯磨きは歯ブラシだけでは不十分で、歯間ブラシやデンタルフロスも併用して歯垢を除去してほしい」と、口腔ケアの重要性を強調した。

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 次回は7月6日午後1時から、飯塚医師会館講堂(西鉄飯塚バスターミナルがあるビルの4階)で。飯塚病院(同市芳雄町)の入江慎一郎泌尿器科部長が「前立腺がん−診断・治療の最前線」をテーマに講演する。受講無料。後日、告知記事を筑豊版に掲載する。