バレーボールVリーグ女子1部(V1)の全12チームによるVカップが9日、開幕した。今季リーグ戦で年間6位(レギュラーラウンド3位)に終わった久光スプリングスは小真木原総合体育館(山形県鶴岡市)でアランマーレ山形にセットカウント3―2(25―17、17―25、22―25、25―19、15―11)で競り勝った。次戦は16日、宮崎市総合体育館でJTマーヴェラスと対戦する。

 Vカップは12チームを2グループに分けて1次リーグを行い、各グループの上位2チームがトーナメント方式で争うファイナルラウンドに進出。4月7日に優勝チームが決まる。

 久光のスターティングメンバー(第1セット)は、中島咲愛(24)、北窓絢音(19)、万代真奈美(25)、中川美柚(24)、大竹里歩(30)、チタポーン・カムランマーク(27)、リベロ・高橋葵(18)。

新たな陣容でVカップ初戦に臨んだ久光の選手とスタッフ(写真提供:SAGA久光スプリングス)

 失意のプレーオフから1週間。ニューフェースを加えた久光が、雪の山形から新たな一歩を踏み出した。女子日本代表の登録メンバーに選出された西村弥菜美(23)とアキレス腱(けん)断裂で離脱中の花井萌里(26)を欠き、リベロには大分・東九州龍谷高からの入団が内定している高橋をスタメンで起用。「リーグとは違ったメンバー構成で試合に臨んだが、準備期間が短い中、みんな全力プレーで頑張ってくれた」。新陣容での1勝に、酒井新悟監督も目を細めた。

高校時代から定評のあった勝負強さ

 高橋にとっては、年明けの全日本高校選手権(春高バレー)以来の実戦がVカップの開幕戦となった。緊張と重圧に見舞われても不思議ではない中、全5セットにフル出場。第1セットには自らの好守で連続得点を呼び込むなど高校時代から定評のあった勝負強さの片りんをさっそく見せた。サーブレシーブの受け数は中川の31回に次ぐ23回。試合後は高校の先輩でもある中川から肩をポンポンとたたかれると、うれしそうに頭を下げた。Vリーガーとしてのデビュー戦が勝利と重なり、忘れられない「3・9」になった。

【次ページに続く】「びっくりしています」

 今後代表活動に専念する西村ら3選手に加え、マッケンジー・アダムス(32)が帰国の途に就いた。濵松明日香(25)と深澤めぐみ(20)はコンディション不良で今回の山形遠征に同行せず、チームは12人で臨んだ。試合はレギュラーラウンドを22戦全敗で終え、勝利を渇望するアランマーレに第2セットと第3セットを奪われるなど苦しんだ。「人数も少ない中、全員で助け合い、勝ち切れたことが良かった。試合を重ねていく中でトライし続けていくこと、気持ちの面では挑戦し続けることは全員でやっていきたい」。2時間25分の熱戦の後、キャプテンの大竹は言い切った。

中川美柚がチーム最多30得点

 キーワードとなった「チャレンジ」を、荒ぶるようなガッツポーズとともに実践したのがチーム最多30得点(アタック28、ブロックとサーブが各1)の中川だった。特にアタックでは64打数で43・8%の決定率をマーク。第3セットまではライト側からの攻撃を担い、後がない第4セットからは中島とレフト対角を組み、コート左側からのスパイクで逆転勝利に導いた。「自分でも見たことがないスパイクが打てて、びっくりしています」。試合後のコート上でのインタビューでは謙遜しながら、今季は「2枚替え」での役回りがメインだっただけに、充実感を漂わせていた。

 プレーオフでは1勝もできずに終戦した。限られたメンバーでチームを立て直していく上で、何かを変えるきっかけが欲しかったのは事実。普段の生活を九州の佐賀で送っている選手たちにとって、気分転換も含めて雪の景色は新鮮だったようだ。銀世界の山形の地で挙げた久々の白星の味を12人はかみしめていた。

選手12人でVカップ初戦に臨んだ久光(写真提供:SAGA久光スプリングス)

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Vカップ初戦でコートに立ち、チームを引っ張った久光の大竹里歩(写真提供:SAGA久光スプリングス)
セッターとして攻撃をつかさどった久光の万代真奈美(写真提供:SAGA久光スプリングス)