バレーボールの黒鷲旗全日本男女選抜大会第2日は2日、大阪市のAsueアリーナ大阪で各組4チームが総当たりする1次リーグが行われ、女子でB組の久光スプリングスは筑波大にセットカウント1―3(16―25、24―26、26―24、26―28)で敗れ、通算1勝1敗となった。1次リーグ最終日となる第3日の3日は東レアローズと対戦する。

 久光のスターティングメンバー(第1セット)は、中川美柚(24)、中島咲愛(24)、栄絵里香(33)、吉武美佳(21)、大竹里歩(30)、濵松明日香(25)、リベロ・高橋葵(18)。

「各セットの入りで苦しい形に」

 Vリーグ1部(V1)の久光が筑波大の勢いにのまれた。2023年の全日本大学選手権(インカレ)を制した実力校を相手に第1セットを落とすと、第2セットと第3セットも序盤から主導権を握られた。

 酒井新悟監督は「筑波大学さんの攻撃のバリエーションと粘り強いディフェンスが大変素晴らしかった」と認めた上で、明確な敗因を挙げた。「各セットの入りで苦しい形になってしまい、セット終盤での最後のところでも取り切れなかった」。第2セット以降は全てジュースにもつれ込む接戦。一進一退の重苦しいムードを打破する決定打をなかなか繰り出せなかった。

筑波大戦でアタックを放つ久光の濵松明日香(写真提供:SAGA久光スプリングス)

 大会初日にV1勢の東レを3―1で撃破した筑波大の強さは本物だった。久光は女子日本代表の登録メンバーでもあるミドルブロッカーの平山詩嫣(23)が途中からコートに入り、同じく代表登録メンバーでエースリベロの西村弥菜美(24)も守備固めで出場。セッターの栄が操るオフェンスは濵松の移動攻撃や、平山の速攻、さらに吉武や中島らがサイドからこれでもかと打ち込んだ。それでも筑波大の選手たちはひるまない。ボールを拾い、つないでラリー勝負に持ち込むと、硬軟織り交ぜたアタックで立ち向かってきた。ポイントを奪われても下を向く選手は皆無。コート内で声を切らさず、終始挑戦者の姿勢で挑んできた。

【次ページに続く】「絶対に勝たなきゃ」

 「向こうは何度も拾ってくるチームだからこそ、私たちも負けずに拾って、攻めて点を取らないといけないのに、気持ちで負けてしまった自分が悔しい…」

 途中出場で攻守に奮闘した北窓絢音(19)は試合後、コートから引き上げると、シューズのひもをほどきながら涙を流した。誠英高(山口)の先輩で、尊敬する濵松が今季限りで久光を退団する。入団以来、妹のようにかわいがってくれた濵松と一緒にプレーできる最後の大会。「ハマさん(濵松の愛称)たちのためにも絶対に勝たなきゃいけない。明日(3日の東レ戦)は序盤から攻め続けて、相手にも自分にも気持ちで負けません。逃げないで勝ちにいきます」。4日の準々決勝に進むためには、勝利が大前提。頂点への道をここで終わらせるわけにはいかない。
(西口憲一)

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筑波大戦でアタックを放つ久光の中島咲愛(写真提供:SAGA久光スプリングス)
筑波大戦でアタックを放つ久光の平山詩嫣(写真提供:SAGA久光スプリングス)
第2セット、スパイクを放つ久光の北窓(撮影・永田浩)
筑波大戦でトスを上げる久光の栄絵里香(写真提供:SAGA久光スプリングス)
筑波大戦でブロックに跳ぶ吉武美佳(13)と濵松明日香(4)=写真提供:SAGA久光スプリングス
第4セット、長岡望悠(左)の話を聞く北窓絢音(撮影・永田浩)
筑波大戦でプレーする久光の高橋葵(写真提供:SAGA久光スプリングス)
筑波大戦でサーブを放つ久光の吉武(写真提供:SAGA久光スプリングス)