◆ソフトバンク2×―1西武(19日、みずほペイペイドーム)

 ソフトバンクは今季5度目のサヨナラ勝ちだ。そのうち4度が西武戦というところに、相性の良さが表れている。「怖いな。怖いね」。最終9回に2点を奪っての逆転サヨナラ勝ちとあって、王球団会長も破顔しっぱなしだった。

 「やっぱり周東が大きかったね。彼が出たら投手が平常心で投げられないからね」。興奮冷めやらぬ王会長は、9回先頭打者としてサヨナラ機を演出したリードオフマンの働きを絶賛していた。周東は直後にリーグトップを独走する今季16個目の盗塁にも成功。本当に脅威の1番打者として打線をけん引している。

 そんな周東を本塁へと迎え入れたのが3番柳田だった。9回1死二塁となってからの右前同点打。放ったカウントは2ボールからの3球目だった。終盤8回に2点を奪って逆転勝ちした18日の一戦も先頭打者柳田の右前打が勝利へのお膳立てとなっていたが、この一打も初球のファーストストライクを捉えた積極打法が奏功したものだった。

 驚かされるのが打席内での心構えだ。こちらはよくこんな状況で積極的にバットが出せるなと感心するのだが、柳田の考えはシンプルだった。「ボールを振らない。ストライクを振る。それだけです」。いわゆる好球必打というやつだ。それを緊迫した試合展開の中で平然とやってのける。柳田が超一流打者と呼ばれる理由が、ここにある。

(石田泰隆)