◆日本生命セ・パ交流戦 DeNA3―5ソフトバンク(8日、横浜)

 いわゆる「飛車角抜き」の状態にありながら、きっちり勝ちきった。8回。守備に乱れが生じ、セットアッパーの松本裕樹が3番オースティンに3ランを浴びて予期せぬ形で同点に追い付かれた。

 その時点で4番山川穂高、5番近藤健介をベンチに下げ、逃げ切り態勢に入っていた。流れとしては負けてもおかしくない状況で、小久保裕紀監督も「よく負けなかった」と振り返っていたが、勝ちきるところに「底力」を感じた。

 そんな「底力」が結集されたのが9回の攻撃ではなかったか。チャンスメークは8回から二塁の守備に就いていた9番川瀬晃のバットだった。先頭打者として一塁強襲の内野安打で出塁すると、1番周東佑京の犠打で二塁へ進み、2番今宮健太の中前打で一気に本塁へ生還した。

 この走塁は相手守備陣の隙を見逃さなかった井出竜也三塁ベースコーチの好判断でもあるが、川瀬が最高のスタートを切ったからこそ得点につながったとも言える。さらに代打佐藤直樹が右前適時打。リードを2点に広げた。

 この川瀬と佐藤直はともにベンチスタートながら、得点に直結する働きで勝利に貢献した。また9回の得点にはつながらなかったが、あと少しでバント安打という犠打を1死一、二塁で決めた緒方理貢も途中出場で存在を示した。7回に代打2ランを放った嶺井博希を含め、選手層の厚さを示した粘り勝ちではなかったか。(石田泰隆)