◆第106回全国高校野球選手権福岡大会5回戦 東海大福岡6―3沖学園(13日・北九州市民)

 中盤の反撃も実らず沖学園は5回戦で敗退。4回戦までの3試合で33得点をたたき出した強力打線は3点止まり。最速144キロの2年生エース川畑秀輔を援護することはできなかった。

 「甲子園に行くのはやめよう」。昨秋、みんなで話し合って決めた。新チームがスタートした当初はチームはバラバラ。練習時間に遅れる。部室からなかなか出てこない。グラウンドでダラダラ歩いている…。「声も出ていないし練習中の雰囲気も悪かった」。北西一希主将(3年)はチームをまとめようと頑張ってきたが雰囲気は変わらず、とうとう心が折れた。そしてみんなで出した結論が「甲子園を目指さない」。頑張りたいなら個人で頑張ればいい。そんなムードだった。

 冬の練習も終盤に入った今年2月に鬼塚佳幸監督が選手に訪ねた。「おまえら本当にそんなんでいいんか?」。その言葉で選手は少しずつ変わり始めた。春の福岡大会は福島に4―5で初戦敗退したが、みんなに「勝ちたい」という気持ちが芽生えた。チームの雰囲気は変わった。ベンチや練習で声が出るようになり「チームのために」という団結力が生まれてきた。5月の福岡地区大会では筑陽学園や福岡工大城東を破って優勝し夏のシード権を獲得。みんなの目標は「甲子園に行こう」に修正。春の大会で初戦敗退だったチームは夏の福岡大会でベスト16まで進んだ。

 チームスタート時には想像もできない夏になった。「最後はみんなでベスト16まで上がれた。ここまで頑張ってきて良かった。本当に、大変でした」。6年ぶりの甲子園には届かなかったが、主将の役割を終えた川西の涙は止まらなかった。