建前は「一律50万円」研修生は全国各地に100人以上【グラブの神様〜湯もみ型付け半世紀 スラッガー久保田運動具店・江頭重利<21>】

西スポWEB OTTO!6/17(火)5:00

建前は「一律50万円」研修生は全国各地に100人以上【グラブの神様〜湯もみ型付け半世紀 スラッガー久保田運動具店・江頭重利<21>】

客に熱心に説明する江頭(左)。相手が研修生となれば、もっと熱を帯びてくる

 ◆西日本スポーツ2015年12月23日(敬称略、肩書などは当時のもの)
 スラッガーの技術、というより江頭の技を身に付けたいと願い、福岡支店のドアを開けた研修生はこれまで100人以上に上る。

 北は青森県八戸市から、南は沖縄県まで。その第1号は静岡県富士宮市のスポーツ店関係者だった。1985年前後という。

 以来、毎年3、4人が訪れる。今年11月にも大阪府泉佐野市から来た若い男性が約1カ月間、腕を磨いた。平均すると1〜2週間。最長で3年というのもいたが、それは例外中の例外。中には会社の経費で研修に来て、帰社してすぐに独立した秋田県の男性もいたという。「個人差はあるけど、本格的にグラブの修理なんかができるのに3年はかかります」とスラッガーの大曲翔太が説明する。

 宮崎県日向市の橋口スポーツの橋口敏廣(65)、慎太郎(39)は親子2代で学んだ。「店があるのは久保田のおかげ」と息子の慎太郎が口を開く。近くの延岡市には量販店が2店舗あるのだが、中高生たちが橋口スポーツの技術とスラッガーのグラブを求めてやって来るという。「お客もテレビや(高校野球の)甲子園大会を見て、目が肥えていますから」と慎太郎が続けた。この店も本家同様、購入後のメンテナンスを無料で行う。「グラブは言うことを聞いてくれます」。慎太郎は、本物は客の心を捉えたら離さない、とでも言いたいのだろう。

 当初、研修生を受け入れる条件は橋口スポーツのように「跡取り」の存在が基本だった。しかし現在ではそのようなスポーツ店は少なくなり、跡取りの部分は削除している。費用は期間に関係なく「一律50万円」と生徒には告げる。ただ、この数字は建前であって、実際には取らない。その代わり、スラッガーの商品を買い、技術を身に付け、それらを客に売ってもらう、という考え方である。

 研修では「商売とは何か」から教える。そこで、江頭が必ず話すのが「絶対に値引きするな。定価で売れ」だ。その理由は「2割引いたら、いくら工賃が出るのか」。そのために「しっかりと技術をマスターしろ」となる。グラブには自信を持つ。小さな店が生存競争を勝ち抜くためのノウハウの伝授である。(森本博樹)

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