【日産A型エンジンの進化 Vol.2 】

Vol.1から続く
底知れない潜在性能を秘めた、5ベアリング支持のA12型!   1970年1月、サニー1000に新しい仲間が加わっている。ハイウェイ時代に向けて送り出された「サニー1200」だ。注目のパワーユニットは、A10型のストロークを70.0mmまで延ばして排気量を1171ccとしたA12型水冷直列4気筒OHVである。また、摩擦損失を減らすために、5ベアリングのクランクシャフトが採用された。

 このA12型エンジンは素性がよく、OHVとは思えないほど高回転も気持ちよく回る。とくにSUツインキャブ仕様は軽快でパワフルだ。サニーGX‐5は、直結の5速MTと相まって痛快なドライビングを楽しめた。

 また、奥深いチューニングの可能性を秘めていたことも名機たるゆえんだ。レース用のA12型は9000rpmまで無理なく使い切ることができた。燃費も群を抜いて良いなど、ポテンシャルの高さをいかんなく発揮した。

 A10型とA12型エンジンは、横置きに変更され、FF車のチェリーに積まれた。レース用にクロスフローのA12型エンジンを試作したのもこの時期だ。また、A12型エンジンのストロークを77.0mmまで延ばし、1288ccとしたのが海外向けのA13型で、ダットサンB210に搭載。ロングストローク設計のため扱いやすい。ちなみに80年代に1270cc(ボア76.0mm×ストローク70.0mm)のA13型エンジンが登場するが、輸出用のA13型とは別設計だ。

 70年代半ばには排ガス規制を乗り切るために大幅な変更を加えた。空燃比を薄くし、酸化触媒やEGRを用いてクリーン化に努めたのである。排ガス対策が施されたA型エンジンには「NAPS」のプレートが付けられた。

 3代目のB210サニーからは、A12型をスケールアップした1397ccのA14型OHVエンジンも登場する。また、4代目のB310サニーのときに排気量を1237ccに拡大したA12A型エンジンも誕生して大家族となった。これをさらに大きくしたのが1488ccのA15型だ。

 80年代に後継のE型エンジンが主役となるが、A型エンジンはサニートラックなどに搭載され、90年代まで生産を継続。不世出の名機といえるだろう。



1970年 B110+A12型はレースで大活躍
A型エンジンの中でもっとも高く評価され、名機呼ばれる1171ccのA12型水冷直列4気筒OHVは、2代目のB110サニー1200に搭載されてデビュー。GX-5は直結5速MTと相まって豪快な走りを見せた。





1973年 B210のマイチェンでA14型搭載
目立たないが、3代目のB210サニーも話題となったコンパクトカーだ。アメリカ環境保護局(EPA)の燃費テストでも第1位に輝いている。A12型に続き、1976年には環境性能を見据えたA14型エンジンを投入した。




1977年 FR最後のB310でA15型に進化
4代目のB310サニーは、A14型と1237ccに拡大したA12型を積む。昭和53年排ガス規制に適合させたが、A14型のツインキャブ仕様は消滅。だが、電子制御燃料噴射装置で復活し、1980年にはA15型へ進化する。





サニー以外のA型搭載車
サニーに搭載されたA型エンジンは縦置きだが、FF車のチェリーやパルサーには横置きのA型エンジンを搭載。また、乗用車だけでなく商用1BOXのバネットやサニーキャブなどにも搭載され、屋台骨を支えた。



サニー軍団を支えたA型パワー
A12型エンジンは、モータースポーツでも愛好者が多い。排気量を1.3Lに拡大し、極限までチューンしたA12型エンジンは、9500rpmまで無理なく回る。今でもクラシックカーレースでは花形のエースエンジンだ。



A12型エンジンと直結5速MTが相まった豪快な走りのGX-5など【写真17枚】