レーシング仕様のエンジンは、扱いづらくストリートには不向きとされる。高回転重視で低速に弱いというのが主な理由だ。このS31Zは、これまでの常識を非常識に変えた。パワーは正真正銘のドラッグスペック、それでいて乗りやすさは完璧なストリート仕様。レーシングエンジンは、もう競技車専用ではない。

【1977年式 日産 フェアレディZ Vol.3】

【2】から続く

もちろん、オーナーがドラッグレースに参戦するわけではないことを、中川代表は百も承知で引き受けている。課題は、ドラッグ仕様のエンジンパフォーマンスを、オーナーがストリートで、いかに楽しめるようにするかだ。中川代表によると、エンジン自体は、ドラッグがターゲットのフルチューン仕様でも全く問題なく、

「高回転域やないと使えないようなピーキーなエンジンは、今どき、ドラッグでも使い物にならんわ」と苦笑する。

 エンジンの基本仕様はN42マニアブロック&ヘッドを起用したL28型改3.25L。モアドライブオリジナルのCPピストン/キャリロコンロッド/クランク、そしてカムは亀有製77度を組み込み、燃焼室やポート加工などチューニングメニューはすべて、ゼロヨン10・7秒を記録するナカガワドラッグ仕様が踏襲されている。

>> 【画像38枚】オーナーの自作カスタムのバッテリーフードのスリット加工など。長さや幅は、カウルトップカバーの純正スリットと統一してデザインしたものなど


>> キャブレターはソレックス50PHH×3。以前から搭載していたものをオーバーホールして使用する。燃料の配管等は改良した。


>> エンジンの高出力化に伴い、ラジエーターの性能も高められた。パーツはトラストのアルミ2層。冷却水はケミテックを使う。


1977年式 日産 フェアレディZ(S31) SPECIFICATIONS 諸元
■エクステリア:ボディ総剥離(10年前)、パールイエロー(ホンダS2000)オールペイント、フロントスポイラー、自作フロントアンダーパネル、タテ熱戦リアガラス
■エンジン:L28型改3.25L仕様(ボアφ89.5mm×ストローク86mm:N42マニアブロック&ヘッド)、372ps/41kgm、圧縮比12.5、亀有製Iカム(77度カム、リフト10.0mm)/バルブガイド/シートリング/チタンリテーナー/ビッグバルブ(INφ46mm、EXφ38mm)、ISSKY製バルブスプリング、MORE DRIVEキャリロ製コンロッド/CP鍛造ピストン/フルカウンタークランク、Wビートメタルヘッドガスケット(1.2mm)、燃焼室アルゴン溶接/ポート加工/ブロックフィラー加工、3S-G型用オルタネーター流用(削り出しブラケット製作)、強化セルモーター、プロショップ中川製オイルキャッチタンク、ARP製スタッド/クランクキャップ/ヘッドボルト
■吸排気系:ソレックス50PHH、MORE DRIVEオリジナルφ48mm等長タコアシ(6-2-1)/φ80mmステンレスマフラー
■点火系:WAKOテクニカル製LA700/CD200/パワーエキスパンダー、亀有製デスビ
■冷却系:トラスト製2層ワイドラジエーター/オイルクーラー(10段)、ケミテッククーラント
■駆動系:MORE DRIVEオリジナルカーボンクラッチ、71Cミッション(OS技研製3速クロス)、ニスモ製LSD(イニシャルアップ:ファイナル3.9)
■燃料系:ボッシュ製燃料ポンプ
■サスペンション:ビルズ製フルタップ車高調(F/R)10kg/mm
■ブレーキ:(F)R32タイプM用キャリパー+φ295mmローター (R)S15用キャリパー+φ250mmローター、S14用マスターバック&シリンダー流用
■タイヤ:アドバン ネオバ(F)205/45R16 (R)225/45R16
■ホイール:RSワタナベ8スポーク(Rタイプ)(F)15×9J (R)16×8J
■インテリア:ビクトリアφ350mmステアリング、レカロ製SPGバケットシート、シュロス製4点式ハーネス、Defi製メーター(水温、油圧、油温)、オートメーター製タコメーター、PLX製A/F計



【4】に続く