“ビッグマミィ”美奈子に厳しい声が集まり続けるワケ 大家族への目が変わってきた?

“ビッグマミィ”美奈子に厳しい声が集まり続けるワケ 大家族への目が変わってきた?

 4度目の結婚にして8児の母親であるタレントの美奈子。「ビッグマミィ」の異名は、前夫である林下清志の愛称「ビッグダディ」に対して名付けられたものだ。以前在籍していた事務所を辞めて以降、現在では個人でタレント活動に精を出している。

 最近始めたYouTubeチャンネルの動画では、子ども達に卵丼と味噌汁の朝食を振る舞う様子を披露し、YouTube内で「偉い」「頭が上がらない」といった感想のコメントが寄せられていた。

 ところが、それに対するネットでの意見は辛辣なものだった。「卵丼は簡単だし偉くもなんともない」「食事っていうかエサって感じ」など、朝食の内容についてだけでなく、「後先考えずに産んだんだから大変なのは当然の結果」「男を取っ替え引っ替えして子沢山をネタにしてるんだからもっと子どもに良くしてあげて」など、女性を中心に、美奈子自体を批判する声も見られた。

 美奈子のこれまでの男性遍歴やお騒がせ行動を踏まえて見れば、世間の冷たい視線は避けられないことかもしれない。しかし、近年の多子家族に対する厳しい意見は、美奈子家に限ったことではない。ドキュメンタリー番組などで紹介される大家族の大変そうな様子に対して、ネットでは「自己責任」「自業自得」となじる声が目立つようになってきている。

 一昔前であれば、子を多く産み育てる母親には多くの敬意が注がれ、大家族を見つめる世間の眼差しも大らかなものが多かったものだ。この変化には、社会・文化的背景が深く関連していると見られる。

 80年代前後、大家族の母親が尊ばれていた頃は、非情報化社会・医学的未発達のために、避妊に関する知識的にも、あるいは物理的にも、現代より妊娠コントロールは困難だった。更に、1985年に男女雇用機会均等法が制定される以前までは、男尊女卑や家制度といった男女不平等社会の中、事実上女性には子作りに対する拒否権がなく、子を産み育てることが女性の義務であり使命であるとされていた文化的背景があった。

 つまり、当時の女性にとって妊娠・出産は不可避なものであり、どこか任務とされているような部分もあったため、多くこなしているほど立派という認識があったのだ。家事を助ける家電の存在が無い時代であれば、この傾向は尚更である。

 一方、医療分野の飛躍的発展を遂げた現代においては、避妊具や避妊薬の開発・普及、あるいは基礎体温管理などによって、以前よりも不用意な妊娠を回避する確率を上げることができるようになった。また、男女平等が掲げられ、社会進出が認められた女性は、それ以前よりも妊娠・出産に対する自由意志が尊重されるようになり、自分の意志によって「妊娠の可能性を下げる」ことが選択できるようになったのである。

 それにも関わらず、多産が原因で苦労しているとなれば、「無計画に産んだのが原因」あるいは「自己責任」という見方が出てくる。また、これだけの情報化社会の中で避妊の知識が無いといった場合は、「情報弱者」として、これも自己責任論に片付けられてしまう。

 実は、元々あった批判的な見方が、SNSなどの攻撃性を持ちやすい匿名発言として浮上している可能性も考えられる。匿名性を利用して自分の意見の正当性を主張したい欲求が強い人からすれば、格好の餌食になりやすいと言える。

 家族心理学・社会心理学的観点では、少子化や核家族化といった社会の変化に伴い、個人主義が加速するにつれて利己的な人間が増加しつつあるという見方がある。当事者の気持ちに配慮する事なく、他人の家庭や人格について思いのまま意見するといったこのような風潮も、その一端ではないだろうか。

文:心理カウンセラー 吉田明日香


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