松田宣浩が来季の構想から外れ、17年間も慣れ親しんだソフトバンク球団を「退団する」と自ら口にした。

 会見(9月28日)では淡々と語っていたが、本当につらい選択であったことは間違いない。ソフトバンクでプロ野球人生を全うしようと決めていたからだ。

 「選手の反応? ムードメーカーでしたし、みんな寂しそうでした」(関係者)

 驚きはなかった。前日27日、すでに一部メディアが「現役続行を希望し、他球団へ」と報じていたからではない。

 >>ソフトB・松田に球界OBが苦言「見てて情けない」 長引く不振は気持ちの問題? 藤本監督の起用法に一因と指摘も<<

 9月7日の東北楽天戦後だった。松田は球団スタッフに呼ばれ、そこで「構想外」であることを告げられた。翌8日、一軍登録から抹消される。

 僅差での優勝争いが繰り広げられている真っ最中であり、チームの牽引役でもあったベテランの二軍降格に動揺する選手も少なくなかった。

 「試合前、藤本博史監督から選手たちに説明がされました」(前出・同)

 構想外になったことが告げられたわけではない。優勝争いを続けていく中で、二軍から昇格させなければならない若手もいる。試合に出場できる選手数には限りがあり、藤本監督は「松田の抜けた分もみんなで」と訴えた。

 「8日の試合後、藤本監督は『松田の抹消』について記者団からも質問されています。選手の編成上、止むを得なかった、松田の再調整も兼ねてみたいなことを答えていました」(地元メディア)

 優勝争いの真っ只中である。そういう時に一軍登録を抹消されたとなれば、その先にあるものは想像がつく。選手たちも口には出さなかったものの、察していたわけだ。

 「松田はベンチスタートとなっても、声を張り上げ、チームを鼓舞してきました。その姿勢は二軍降格後も変わりませんでした」(前出・関係者)

 会見で語られたところでは、松田は二軍降格後、「引退」と「退団」の二択で悩み、現役続行を選択した。しかし、7日の会談で「現役を続けたいのであれば、自由に他球団と交渉できるよう手続きをする」と告げられていた。返事保留で二軍に合流し、28日の会見に至ったわけだ。

 今季成績は43試合、打率2割4厘、本塁打ゼロ。20安打。17年のキャリアにおいて、全てワーストである。

 2000本安打まで、あと169本と迫っており、通算1000打点にもあと9点で届く。松田はこれらの節目の金字塔について、「意識していない」と言ったが、侍ジャパンでも活躍していた当時を知るNPBスタッフがこんな話もしてくれた。

 「手に届くものがあるなら獲りに行くと話していましたが」

 こういうギラギラした言動、野性味のあるプレーが松田の魅力だ。

 「昨年オフの契約更改で、約3億円のダウン提示を受けました。松田はこのダウン提示に驚き、少し考えさせてほしい、と答えました」(プロ野球解説者)

 近年、成績を落としていた。

 屈辱的なダウン提示を受け入れたのは、「まだできる」の思いと、ホークスでの再起を決めたからだ。

 一軍登録されていた7日、松田は代打出場している。三塁手を固定できなかった球団は少なくないので、移籍先はすぐに見つかるだろう。しかし、ホークスでの一軍最終打席が「三振」では寂しすぎる。(スポーツライター・飯山満)