中川皓太、2022年育成ドラフト1位投手・松井颯の「支配下登録」が発表された(5月15日)。チーム防御率がリーグワースト(4.20/5月15日時点)に沈む原巨人の救世主になってくれたら良いのだが、その起用法を聞くと、エース・菅野智之投手の“現在地”も見えてきた。

 関係者が中川の支配下復帰について、こう言う。

 「支配下登録の推薦がファームからあって、原辰徳監督が映像資料を確認しました。今度はゴーサインがもらえたので、支配下登録が決まりました」

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 先週末の東京ドームで行われた広島戦の試合前、中川、松井の支配下登録の情報は流れていたが、前出の関係者の証言が気になる。

 「今度は」とは、どういう意味なのだろうか。

 「中川は腰の故障で、昨季は1試合も投げていません。でも、実戦登板させようと思えば、3月にはできたんです。ただ、慎重になった方が良いということで、練習はペースダウンさせたんです」(前出・同)

 5月4日に三上朋也を、同14日にも平内龍太を支配下登録した。

 リリーフの経験者を続けて支配下に戻したのは「8回イニング目」に失点する状況を変えたいからだろう。

 原監督は中川の支配下登録が発表された後、17日のヤクルト戦から一軍登録するニュアンスだったが、

 「あまり大きなものを負担に掛けるのはどうなのかなという気はする。使い方という点では考えてあげないとね」

 と、慎重な口ぶりだった。

 三上、平内ら他のリリーバーの支配下復帰が同時期になったのは、特定の投手に負担が集中することを避けるためでもあったのだろう。

 そうなると、「三振も奪える」と評される松井の起用法だが、こちらは先発となりそうだ。

 「救援投手が務まる資質も持っています。首脳陣は先発で使っていくつもりで調整させてきました」(ベテラン記者)

 松井は14日の西武二軍戦に先発し、5回4安打2失点だった。4回までパーフェクトの好投で、原監督も期待を寄せているという。

 「松井に先発を任せるということは、先発要員も不足しているんです。ファームで調整中の菅野ですが、少し時間が掛かるかも」(前出・球界関係者)

 関係者たちの話を総合すると、久保康生・巡回投手コーチが付き添っており、話し合いをしている状況のようだ。

 「ブルペン投球を終えると、映像チェックをし、久保コーチと話し合い、またキャッチボールをして、話し合い…。その繰り返し」(前出・同)

 近年、投球フォームのマイナーチェンジを繰り返してきた理由は、ボールをリリースする瞬間、右足の蹴りが上手く行かず、「ボールに力が伝わらない」と“自己分析”してきたからだ。オープン戦後半に痛めた右ヒジはキャンプ中に寝違えて首を痛め、その延長だったという。

 投球フォームのことで試行錯誤を繰り返している状態ならば、早期の復帰はない。

 どのチームもそうだが、エースが登板する時、「今日は落とせない」といった緊張感が試合前練習から漂っている。今の巨人にはそれがないのだ。(スポーツライター・飯山満)