プチ鹿島が振り返る今年のスポーツ紙。下世話目線が見抜いたトランプ外交!?

プチ鹿島が振り返る今年のスポーツ紙。下世話目線が見抜いたトランプ外交!?

 年末なので今年の「月刊スポーツ新聞時評」を振り返りつつ、「2017年思い出の記事」について書きたい。

 まずは早春におこなわれた「WBC」。3月17日のデイリースポーツは歴史的な1面だった。

「菅野託した 準決勝先発」

 熱烈なトラ党・デイリースポーツが、WBCの準決勝前は宿敵・読売ジャイアンツのエース菅野の写真を1面にし、「託した」と書いたのだ。普段は敵味方に分かれていても国際試合では同じ夢を見る楽しさ。

 同じ阪神ネタでいくと、今月12月16日のサンケイスポーツ(関西版)も今後思い出に残りそうな1面。

「ロサリオ マル秘情報」

 一体どんな情報が載っているのか。読んでみると、

《阪神の新外国人、ウィリン・ロサリオ内野手(28)=前韓国ハンファ=が早くもマルコス・マテオ(33)、ラファエル・ドリス(29)両投手と“LINE(無料通信アプリ)友”になったことが15日、分かった。》

 ロサリオが、マテオとドリスとLINEで友だちになったという。

 マル秘情報とは、チーム情報などを事前に徹底取材という意味だった。野球がオフシーズンの今、各スポーツ新聞の切り口は見逃せない。

スポーツ新聞は貴乃花親方に夢中!

 サンスポといえば12月12日の1面、

「貴 居留守」

 もインパクトがあった。

 大相撲・日馬富士の暴行事件。スポーツ新聞はいつのまにか貴乃花親方の動向に夢中になっていたのだが、遂に「居留守」までが1面になった日。

 相撲協会の危機管理委員会の幹部が貴乃花部屋を訪れたのだが、貴乃花親方は居留守。

 出来事はそれだけだった。

 この相撲報道合戦は11月14日から。

「ビール瓶で殴打 日馬 暴行疑惑 貴ノ岩頭蓋骨骨折」(スポーツニッポン11月14日)

 この1面からすべてが始まり、騒ぎはまだ続いている。

在阪スポーツ紙なら「阪神の次期監督」をどう書く?

 今回の騒動はスポニチ発であり、貴乃花親方が評論活動をしていたスポニチに告発した可能性が高い。そう考えると「評論活動とスポーツ新聞」に着目しても面白いかも。どの親方がどのスポーツ紙で評論やコラムを持っているか、もしくは持っていたか。それによって情報のソースや書き方に違いもあるかもしれない。

 たとえば関西のスポーツ紙はひとたび「阪神の次期監督」報道に火がつくと、自紙に関係の深い評論家の名前を推すことがあるとよく言われる。相撲も野球もそんな俯瞰したスポーツ紙ウオッチをすると見え方がまた一味変わる。

球団と同グループのスポーツ紙の「社説」効果。

 さて、スポーツ報知にとって今年は「巨人13連敗」が最大の出来事ではなかったか。

 報知は読売系列のスポーツ紙であるから、巨人の負けが込んだりすると提案や叱咤が紙面に出てくる。

 今季の13連敗中の印象的な1面はこちら。

「由伸6連敗 打開策クルーズ使え!!」(6月1日)

 得点力アップのためにすべきことは何か? 巨人担当キャップの「提言」が載った。それが「クルーズ使え!!」という1面。

 すると、その翌日にクルーズが一軍に昇格した。

 ここでひとつ、私からの提言をしたい。

 一般紙には「社説」という、世の中への提言やお叱りを述べるコーナーがある。世の中全体や森羅万象について小言を言う「社説」は間口が広すぎて何か言ってるようで逆に何も言ってない場合が多い。

 しかし、球団と同じグループである場合、そのスポーツ紙での「提言」「お叱り」はそのあと内容が実行される可能性が高い。「クルーズ使え」は報知の社説であったとも言える。

 そう考えると一般紙の社説よりスポーツ紙の提言のほうが興味深いしチェックのし甲斐がある。そんな面白さを感じた記事であった。

「トランプ大統領 最低」と「安倍政権と同水準」。

 スポーツ新聞の「社会面」も注目の1年だった。

 一般紙を読んだあと、スポーツ新聞の社会面を読むとスイスイ頭に入ってくることがある。たとえば、

「トランプ大統領 最低」 「第2次大戦以降 就任半年支持率36%」(日刊スポーツ・7月18日)

 という記事の隣りに目をやると「安倍政権と同水準」という見出しがあった。この合わせ技はスポーツ紙ならではの妙。

 日刊スポーツには「政界地獄耳」という硬派なコラムがあり、与党野党関係なくビシッと毎日ツッコんでいる。

 上半期で目立った人といえば稲田朋美氏。当時の防衛大臣である。失言や問題発言を繰り返しても大臣のままで、安倍総理は8月の内閣改造まで「引っ張る」ように見えた。すると「政界地獄耳」は、

《「何の問題もない」のならばぜひ防衛相は留任させるべきだ。ここで辞めさせないのなら、内閣改造で代える理由もないはずだからだ。》(日刊スポーツ「政界地獄耳」7月1日)

 と見事な皮肉を放っていた。(このあと稲田氏は内閣改造前に辞任)

スポーツ報知が調べ上げた、トランプのケチャップ外交。

 一般紙の報道のあとに「ではどうなったか?」を教えてくれるのもスポーツ紙だ。

 トランプ大統領が来日したとき、毎日新聞に「ケチャップ大好き 儀礼より優先…今回も?」(11月5日)という記事が載った。

《トランプ氏はケチャップ好きで知られ、外交儀礼よりも自身の好みを優先させる傾向がある。大統領就任後初のアジア歴訪では食事内容にも注目が集まる。》(毎日・同)

 トランプ氏は相手国が用意した料理にも平気でケチャップをかけてしまうという。日本でも同じか?

 すると、スポーツ報知が調べたのである。

トランプ大統領のケチャップから見えてくるもの。

「大好物ケチャップ トランプ大統領使わず」(11月7日)

 報知は日米首脳の会食がおこなわれた「銀座うかい亭」に取材し、トランプ大統領が「マーブル状できめ細かい、米国では見ない肉だ」とステーキを絶賛してケチャップを使用しなかったという証言を引き出した。

 この記事でわかったことは、日本の肉はうまいということでもあるが、外交の場でも己の欲を優先させるガサツなおじさん・トランプの「正体」がここに象徴されていたことである。

 神は細部に宿る。

 スポーツ紙の下世話目線も重要なのである。

 以上、今年の思い出の記事を振り返る『スポーツ新聞時評』でした。

文=プチ鹿島

photograph by Keiji Ishikawa

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