ヤンキー・スタジアムと右の強打者。ジャッジ+スタントンで100本超え?

ヤンキー・スタジアムと右の強打者。ジャッジ+スタントンで100本超え?

 ヤンキースは左打者の王国だった。

 ベーブ・ルース、ルー・ゲーリッグ、ミッキー・マントル(両打ち)、ロジャー・マリス、レジー・ジャクソン、ドン・マッティングリー……ほかにもいるが、球史に残る左のスラッガーが勢ぞろいだ。一方、右打ちのスラッガーは少なかった。ジョー・ディマジオ、デイヴ・ウィンフィールド、アレックス・ロドリゲス……いたことはいたが、数は少ない。

 かつてヤンキースで監督やGMを務めたことのあるジーン・マイケル(2017年9月病没)などは、「ヤンキー・スタジアムで勝つには、左打者と左投手が欠かせない」と公言してはばからなかった。

 なるほど、右翼が浅く、左中間が深い球場の形状を見れば、普通はそう考えたくなる。「ベーブ・ルースが建てた家」という呼び名も広く知れ渡っている。1923年に開場したとき、左中間最深部までの距離が152.5メートルもあったのに対し、右翼までの距離は90メートルしかなかった。だれが考えても、左打者に有利だ。

 だが、球場の形状は変わった。'09年4月に誕生した新ヤンキー・スタジアムの左中間最深部は122メートルで、右翼までは95.7メートルある。左翼ポール際までが96.9メートルだから、他の球場とそんなに大きな差があるわけではない。しかも左中間や右中間のふくらみは、昔に比べるとずいぶん削られた。本塁打が出やすい条件は十分に整ったといってよいのではないか。

52本のジャッジ。59本のスタントンが並ぶ魅力。

 しかも2017年には、大型新人アーロン・ジャッジが出現した。

 ジャッジは52本のホームランを打って、本塁打王と新人王に輝いた。52本のうち、本拠地ヤンキー・スタジアムで打った本塁打は33本。そのうち12本は、センターより右側に飛んでいる。それも、ボールを強く叩いたというよりも、巧くバットに乗せて客席まで運んだ印象の本塁打が多い。反対方向にこれだけ本塁打を打てる右打者といえば、彼以外にはJ・D・マルティネスぐらいしか思い当たらない。

 これを、ヤンキースに新加入したジャンカルロ・スタントンに当てはめたら、どうなるだろうか。

 '17年のスタントンは、59本のホームランを打ってナ・リーグ本塁打王に輝いた。59本のうち31本は、本拠地のマーリンズ・パークで放っている。ただ、この球場は、ヤンキー・スタジアムに比べると本塁打が出にくい。

177試合で53本を打っているサンチェスにも注目を。

 右打者だけに絞ると、156本(ヤンキー・スタジアム)対109本(マーリンズ・パーク)と明らかな差がある。スタントン自身、「マーリンズ・パークでホームランを打つには、球を芯でとらえて高い飛球を上げなければならない。当たり損ないでは届かない」とインタヴュー記事で述べている。

 そんなスタントンが、新たな本拠地で、ジャッジに倣って軽い右打ちで本塁打を量産できたら、凄い数字が生まれるのだろうか。いや、彼らだけではない。ヤンキースにはもうひとり、ゲイリー・サンチェスという右の強打者がいる。ジャッジはデビュー以来182試合で56本塁打を打った。サンチェスも177試合で53本を打っている。ほぼ同等のペースだ。スタントンは986試合で267本だから、彼らがそろって順調に活躍できれば、3人の右打者の合計本塁打数は140〜150本に達する可能性がある。

 もちろん、これは机上の計算だ。ジャッジやサンチェスは相当研究されて、きびしく弱点を攻められるだろうし、スタントンもア・リーグの野球にとまどう可能性がないとはいえない。そもそも、ジャッジとスタントンは、どちらが右翼を守り、どちらがDHにまわるのだろうか。普通に考えれば、疲労度や体調を考慮して、元気なほうが外野守備に就くことになるのだろうが、ふたりともDHには馴染んでいない。まあ、そこまで考えるのは杞憂という気もするのだが。

セベリーニョと田中が軸の先発陣にあと1枚加われば。

 ざっとこんなところで、2018年のヤンキースは、十分にワールドシリーズ制覇を狙える位置にいる。ルイス・セベリーニョと田中将大を軸に「右投手」をずらりとそろえた先発陣(いまのところ、左はジョーダン・モンゴメリーとCC・サバシアしか見当たらない)は、あと1枚駒が加わればかなり期待できるし、新監督アーロン・ブーンの明るさもプラスに働くような気がする。

 シーズン半ば、あるいはシーズン終了後に「ヤンキー・スタジアムで勝ちたければ、右打者と右投手をそろえる必要がある」という発言が聞かれたりしたら、ちょっと面白いではないか。

文=芝山幹郎

photograph by AP/AFLO

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