来季巨人の大命題、どう点を取るか。2番はマギーより坂本が最善手では。

来季巨人の大命題、どう点を取るか。2番はマギーより坂本が最善手では。

 打てなかった。

 2017年の巨人を振り返ると、2010年代初頭には最強を誇った強力打線の凋落が著しいということが強く残っている。

 投手陣を振り返れば菅野智之が最多勝(17勝)、最優秀防御率(1.59)、マイルズ・マイコラスが最多奪三振(187)と投手三冠を巨人勢で独占。この2人に左のエース、田口麗斗を加えた3人で44勝17敗の貯金27を作っている。

 2018年シーズンはこの3本柱からマイコラスが抜け、その分をフリーエージェントで獲得した野上亮磨と、ケガで出遅れシーズン中には暴行事件を起こすなど散々だった山口俊の2人でどれだけカバーできるか。また'17年シーズン後半戦にローテーション入りした畠世周が開幕からどこまで働けるか。その辺に期待のかかるところだ。

 いずれにしても2018年の巨人のチームコンセプトは'17年同様、投手力を中心にした守りにあることだけは間違いない。

守りの野球を目指すと同時に、打線の援護も必要。

 ただ、いささか逆説的になるが、こうした投手陣を中心にした守りの野球を目指すのであれば、なおさら必要なのが打線の援護なのである。

 菅野やマイコラスなら3点取れば勝ちは見えてくる。田口にしても4点取れればかなりの確率で勝利が見えてくるし、そういうゲームプランが成立する。ただ、そんな投手はどのチームでも1人か2人しかいないのは当たり前なのである。

 日本一になったソフトバンクは規定投球回に達した防御率3点台以内は千賀滉大、東浜巨、リック・バンデンハーク。セ・リーグ覇者・広島は薮田和樹と野村祐輔、大瀬良大地とそれぞれ3人いたが、そういう安定した先発以外のときに、いかに打線が援護できるか。その投打のバランスが'17年の巨人にはなかった。

少ない本塁打数と盗塁、ワーストの併殺打。

 典型的な例が、'17年の5月末から6月にかけて記録した球団ワーストの13連敗だった。

 この間の試合で先発投手陣が5回まで3点以内に抑えたのは6試合あり、逆に打線が9回で3点以内に抑えられたのは実に9試合を数えている。要はいくら投手が抑えても、打線がある程度得点できなければ白星はあげられない。当たり前だがそのバランスシートをいかに作れるかなのだ。2018年の巨人の土台は守りにあるが、最大のテーマはやはり打線なのである。

 '17年シーズンの巨人のチーム打率2割4分9厘は阪神と同率でリーグ3位、チーム536得点は同4位と平均的だった。だがその一方で顕著に上位チームとの差を示す数字が3つある。

 1つはトップの広島の152本に対して113本という本塁打数の少なさ。そして残る2つはリーグ4位でトップの広島の半分だった56盗塁とリーグワーストの129併殺で、これは機動力のなさということで表裏一体の数字だった。

本塁打王ゲレーロ獲得は一理も二理もある補強。

 もちろんこうした数字を踏まえた補強がセ・リーグ本塁打王、アレックス・ゲレーロ外野手の獲得だったのはいうまでもない。

 '17年シーズンはナゴヤドームを本拠地にする中日で35本塁打をマーク。左中間、右中間のふくらみが少なく、ナゴヤドームに比べて本塁打が出やすいと言われる東京ドームなら40本近くが期待できるという皮算用だ。

 ケガが多くメジャーでは欠場が多かったことから、2年契約を危ぶむ声があるのは確かだ。ただ、市場を見回した中では長打力では一番の選手で、リスクを言っていては補強はできない。ゲレーロ獲得は、結果はともかくフロントとしては打てる手を打った補強で、そこには一理も二理もある。

 そうしてゲレーロが加入し4番を打てれば、打線の編成も大きく変わってくる。

 おそらく阿部を5番に回して3番の坂本勇人とクリーンアップを組むというのが、高橋由伸監督の第一構想だが、もう1つのカギとなりそうなのが、「2番・マギー」を継続するのかどうかということではないだろうか。

泥沼の13連敗から救った「2番・マギー」。

 泥沼の13連敗から巨人反転の糸口を作ったのが、ケーシー・マギーの2番起用だったのは誰もが認めるところである。

 マギーが初めて2番に起用されたのは、オールスター戦直前の7月12日のヤクルト戦。この試合までに81試合を消化していたチームは、37勝44敗で7つの負け越しという状態だった。しかし、「2番・マギー」で臨んだヤクルト戦に8対3で快勝すると(マギーは3打数1安打2四死球)、その後の62試合は35勝24敗3分けの勝率5割9分3厘の成績で、DeNAと最後まで3位争いを演じて4つの貯金を残した。

 7月12日以降の成績を単純比較すると、巨人より高い勝率を残したのは6割だった広島だけで、阪神もDeNAをも上回っている。

 2番に起用されたマギーが打率3割1分5厘で首位打者争いを演じ、48二塁打のリーグ新記録を作るなど打線の起点として機能したのが大きな要因だった。

 ただ、それでは2018年シーズンもマギーの2番が最善手かといえば、決してそうとも言えない部分はある。

 それを裏付けるのが盗塁と併殺の数字なのだ。

上位打線で機動力が使えないデメリットが。

 攻撃的2番打者としてマギーの存在感は確かに大きかったが、その反面、上位打線で機動力がほとんど使えないという問題を内包していた。

 もちろん機動力不足という点では、1番打者を固定できなかったことも大きい。ただ、「2番・マギー」だと、もちろんバントは前提として作戦から排除される。その上でエンドランなどで制約をつけた打撃を求めるより、自由に打たせて結果が出るのを待つということが基本になってしまう。しかもマギーが出塁した場合にも、クリーンアップが打つのを待つだけしか基本的には策がない。

 その結果がリーグワースト2位のマギーの20併殺、ワースト6位の坂本の16併殺という数字につながるわけだ。ちなみに併殺ランキングではこの2人の他に長野久義が17併殺、村田修一が15併殺とワースト10に巨人選手が4人も入っている(トップはDeNAの宮崎敏郎の23併殺)。

坂本の後にマギー、ゲレーロがいる方が……。

 こうなると極端な言い方をすれば、相手投手を打ち崩すしか巨人打線に攻略の道はない。ただ、今の野球はただ打つだけではなく、球数を投げさせることも投手攻略の道である。また四球にバントや盗塁などの機動力を絡めて1本の安打をどれだけ得点に結び付けられるか。

 戦力が均衡化して絶対的なチームがないセ・リーグでは、そういうトータルベースボールができなければ、高い勝率を残せなくなっている。

「2番・マギー」という選択は、巨人の2017年の戦力では、もちろん有力な選択肢だった。ただ'18年も変わらないかと問われれば、それだけでもないことも確かなのである。

 4番のゲレーロが期待通りに機能すれば、面白いのはむしろ2番のマギーと3番の坂本を入れ替える選択肢かもしれない。

 攻撃的2番打者として坂本には長打力もある。何より機動力がある。後ろにマギーとゲレーロを置くことで、坂本を歩かせれば大量失点の引き金になりかねないので、投手がストライクで勝負してくる確率も高くなる。そうなれば打者・坂本を生かすことにもつながる。

日本ハム関係者も「2番・坂本は1番嫌な打線になる」

 実は連敗中の6月8日の西武戦で、高橋監督は坂本を4年ぶりの2番に起用した。この試合で坂本は2安打と活躍したが、チームは序盤の大量失点で敗れ13連敗目を喫した。しかし翌9日の日本ハム戦では「2番・坂本」の勝ち越し打で連敗をストップ。その後は体調不良などでスタメンを外れるなどして、結果的にはマギー起用へと落ち着いていくことになる。

 ただこのとき対戦した日本ハム関係者からも「2番・坂本は対戦していて一番嫌な打線になる」という声が出ていたことは記しておきたい。

 '17年の巨人は阿部、村田に年齢的な限界が見えて、次世代の柱と言われていたサカチョーコンビの一人、長野もスランプから低調な成績でシーズンを終えた。補強した陽岱鋼も前半はケガで機能せず、それではとって代わるような若手がいたかといえば岡本和真もルーキーの吉川尚輝も二軍で2割5分前後の数字しか残せなかったのが現実だ。

 数少ない数字を残せる選手をどう繋げるか。2番にマギーや坂本を起用したのも、そういう打線の流れを作るための1つの策だったわけだ。

DeNAのように吉川を9番に置いてみるのも一手。

 ただゲレーロが加入し、期待通りとまでいかなくてもある程度の数字を残せば、打線の幅は大きく広がる。

 1番に陽(または長野)が入って2番に坂本を置き、3番からマギー、ゲレーロ、阿部と続いて長野(陽)、吉川、小林誠司と続く打線は悪くはない。またDeNAのように投手を8番に入れ、倉本寿彦のように吉川を9番に起用して1番に繋げる打線も面白いかもしれない。

 決してこれで機動力が武器になるとは言わないが、まったく動けなかった'17年シーズンから、少なくとも指揮官の選択肢は増えるはずだし、上位打線をしっかり固めて得点力を上げることが、下位で若手を抜擢できることにも繋がるはずである。

 野球とは「各チームは、相手チームより多くの得点を記録して、勝つことを目的とする」(野球規則1・02)という競技である。点を取らせないことは負けない方法だが、点を取れなければ勝てない。

 いかに点を取るか。

 '18年の巨人の命題はそこにある。

文=鷲田康

photograph by Hideki Sugiyama

関連記事

おすすめ情報

Number Webの他の記事もみる
主要なニュースをもっと見る
社会のニュースをもっと見る
経済のニュースをもっと見る
政治のニュースをもっと見る
国際・科学のニュースをもっと見る
エンタメのニュースをもっと見る
スポーツのニュースをもっと見る
トレンドのニュースをもっと見る
生活術のニュースをもっと見る
地域のニュースをもっと見る

スポーツ アクセスランキング

ランキングの続きを見る

スポーツ 新着ニュース

新着ニュース一覧へ

総合 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

東京 新着ニュース

東京の新着ニュースをもっと見る

東京 コラム・街ネタ

東京のコラム・街ネタをもっと見る

特集

特集一覧を見る

記事検索