打率4割に.000、2287打席目の初HR。2017年プロ野球、マニアな5大記録。

打率4割に.000、2287打席目の初HR。2017年プロ野球、マニアな5大記録。

 2017年が終わろうとしている。今年も野球記録マニアにとって、胸が震えるような数字がいくつも生み出された。

 お断りしておくが、私のようなひねくれた記録ファンは「大記録」には食指が動かない。今年も阿部慎之助、荒木雅博、鳥谷敬が2000本安打をクリアして名球会に入ったが、そういうのは世間が騒ぐし、別にここで取り上げる必要はない。

 やはり、もっと地味で、しかも球史に残るひそやかな大記録をご紹介したい。ポジティブなものも、ネガティブなものも含めて5つある。

<日本ハム近藤健介、NPB最多打席での打率4割>

 今年の春先に、野球ファンをワクワクさせたのはこの選手。開幕から安打を打ちまくり、6月6日まで打率.407を記録。夢の「4割打者」への期待を持たせたが、椎間板ヘルニアを発症して戦線離脱。

 近藤健介が偉かったのは、9月28日に復帰して以降出場した7試合でも好調を維持、17打数8安打と打ちまくったことだ。近藤は167打数69安打、打率.413でシーズンを終えた。規定打席には遠く及ばなかったが、ものすごい記録だった。

●NPBでシーズン4割をマークした選手の打席数上位5人

2017年 近藤健介(日本ハム)打率.413 231打席167打数69安打
1972年 宮川孝雄(広島)打率.404 62打席52打数21安打 
2004年 鶴岡一成(横浜)打率.400 60打席55打数22安打
1936年春夏 小川年安(タイガース)打率.477 49打席44打数21安打
1969年 藤原真(アトムズ)打率.462 42打席39打数18安打 

 シーズン途中までなら4割を記録した選手はたくさんいた。1989年のウォーレン・クロマティのように規定打席403に達するまで4割をキープした選手もいたが、シーズン最終成績として100打席以上で4割を残した選手は1人もいなかった。

 だからこそ231打席に立って、打率.413でフィニッシュした近藤の成績がいかに破天荒かがわかるだろう。来季は清宮幸太郎の加入で注目を集める日本ハムだが、その陰で近藤が、またコツコツと安打を量産するかもしれない。引き続き、夢の4割打者誕生に期待したい。

33打数ノーヒットのままシーズンを終えたのは……。

<ロッテ岡田幸文、打てども打てども安打出ず>

 岡田幸文は外野守備の名手として知られる。2009年育成6位で入団して2011年には外野の定位置を獲得。抜群に広い守備範囲で、ロッテの投手陣を何度も救ってきた。ゴールデングラブ賞2回、打撃でも.267(規定打席到達)を記録したこともあるが、今季は絶不調。ついに1本の安打も打つことができなかった。40打席、33打数0安打、5四球を選んだものの打率は.000のままシーズンを終えた。

 過去にシーズン打率.000を記録した選手は1000人以上いるが、40打席以上は5人しかいない。

1961年 大崎隆雄(大洋)47打席39打数0安打
1955年 円子宏(南海)47打席37打数0安打
2001年 高橋尚成(巨人)44打席39打数0安打
1994年 西村龍次(ヤクルト)41打席36打数0安打
2017年 岡田幸文(ロッテ)40打席33打数0安打

 岡田は歴代5位だが、上位4人はすべて投手。野手としては史上最多打席だ。これまでの記録は2016年、岡田のチームメイト吉田裕太が記録した35打席30打数0安打だった。不名誉な記録だが、岡田はこれで球史に名前を残した。来季はぜひ頑張って汚名を雪いでほしい。

<ヤクルト山田哲人、ついに菊池涼介を抜く>

 今年のWBCで、広島の菊池涼介はすさまじい守備を見せた。体をゴムのように伸ばしてゴロを捕球し、何度も投手のピンチを救った。世界も菊池の二塁守備に注目した。実はヤクルトの山田哲人も攻守の二塁手なのだが、異次元の守備をする菊池涼介には及ばなかった。

 今季、山田は打撃こそ不調に陥ったが、守備面で頑張りを見せてついに今年、数字面では菊池を抜いた。

●過去3年の両二塁手の補殺(ゴロによるアウト)数と1試合当たりの補殺数

2015年:菊池涼介 484補殺/3.38、山田哲人 472補殺/3.30
2016年:菊池涼介 525補殺/3.72、山田哲人 417補殺/3.13
2017年:山田哲人 442補殺/3.09、菊池涼介 407補殺/2.95

 菊池は今季5試合欠場、補殺数も大幅に減った。WBC出場の影響かと言われた。山田もWBCに出場、シーズンの打撃成績は不振だったが、二塁手として全試合に出場し、補殺数も442と気を吐いた。

 数字だけを見れば、今年のゴールデングラブは山田でもおかしくなかったが、菊池はもはや「ブランド」になっている。記者投票は山田にはいかなかった。しかし今季の山田は、チーム史上最多敗戦の苦しい状況で、いろんな意味で頑張っていたのだ。

プロ生活9年、2287打席目にして初ホームラン。

<中島卓也、ついに初アーチ>

 7月30日、ヤフオクドームのソフトバンク戦で、日本ハムの中島卓也はプロ入り初本塁打。実に2287打席目での一発。これは、もっとも遅咲きの初本塁打である。今年は広島のバティスタ、DeNAの細川成也が初打席初本塁打を記録している中で、中島はプロ9年目の初本塁打だった。

 これまで1000打席以上立って、通算0本塁打だった打者は4人だけ。中島は、この本塁打によって「0本塁打倶楽部」を脱退したことになる。残り3人は以下の顔ぶれ。

1.岡田幸文(ロッテ)2483打席2233打数0本塁打
2.横沢七郎(セネタース)1770打席1465打数0本塁打
3.松本哲也(巨人)1449打席1280打数0本塁打

 申し訳ない。私は岡田幸文は好きな選手なのだが、また“とほほ記録”で名前を出してしまった。中島が卒業する前から、岡田はNPB史上最も多くの打席に立った0本塁打のプロ野球選手だったのだ。前述のとおり、今季0安打だったから、この記録、解消できるはずもない。なお2位の横沢七郎は1913年生まれ、慶應義塾大出で戦前、セネタースで活躍した内野手。のち審判になった。3位の松本哲也は、今季まで現役だったが引退した。

 岡田と松本に共通しているのは「育成上がり」だということ。本塁打はなくても岡田と松本ともに外野守備と足を武器で一軍の舞台で活躍した。0本塁打は、大きいのがなくても起用され続けた選手の、いわば勲章だと言えるのではないか。

<山川穂高、後半戦なんと三冠王>

 最後に景気の良い記録を紹介しよう。今季を前後期に分けるとすると、6月末が切れ目になる。そこで分けて後半戦だけの成績を集計すると、パ・リーグにすごい打者が出現したことがわかる。

●パ・リーグ後半戦(7月1日以降)打率上位5傑

1山川穂高(西)打率.321 66試合 215打数 69安打 21本塁打 56打点
2秋山翔吾(西)打率.319 75試合 307打数 98安打 10本塁打 50打点
3吉田正尚(オ)打率.311 64試合 228打数 71安打 12本塁打 38打点
4柳田悠岐(ソ)打率.303 58試合 198打数 60安打 11本塁打 33打点
5マレーロ(オ)打率.296 68試合 243打数 72安打 15本塁打 41打点

 西武の山川穂高はNPB最多安打記録を持つ秋山翔吾を差し置いて、首位打者。それだけでなく21本塁打56打点で三冠王だ。

もしフルシーズン稼働すれば、デスパイネ以上?

 山川は176cm100kg、遠目では175cm102kgのチームの大先輩・中村剛也とほとんど見分けがつかない。

「おかわりさん」こと中村は過去規定打席に達した6シーズンですべて本塁打王を取っていたが。今年は27本塁打を打ったものの及ばなかった。しかし、そっくり体形の後輩が台頭したのだ。

 山川は沖縄県出身。メットライフドームで彼が打席に立つと「オジー自慢のオリオンビール」とBIGINのあの名曲のさわりが流れる。わたしは聞くたびにビールをもう一杯飲みたくなる。さすが「おかわり二世」だけのことはある。

 山川がフルシーズン活躍していれば42本塁打112打点、これはタイトルを取ったソフトバンク・デスパイネの35本塁打103打点を抜く。来季のタイトル争いに恐るべきダークホースが現れたものだ。

 今年もプロ野球の記録でいろいろ遊ばせてもらった。来季はどんな数字が出て、記録マニアをワクワクさせてくれるのか、今から楽しみだ。

 みなさん、よいお年を!

文=広尾晃

photograph by Kyodo News

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