10年間の球団ランキングとドラフト。成功選手が少ないのは中日と……。

10年間の球団ランキングとドラフト。成功選手が少ないのは中日と……。

 プロ野球選手会と野球ファンが、近鉄球団を解消して1リーグ制をめざそうとする流れに抗い、マスコミがそれに乗る形で2リーグ制を維持する勢いが形成された。

 2004年、プロ野球界に吹き荒れた“再編騒動”のことだ。このときの風は誰も予測できないほどの勢いでプロ野球界に存在していた矛盾を取り除いていったのだが、そのうちの1つがドラフト制度だった。

 大学生と社会人に与えられていた希望球団を選べる「希望入団枠」が2006年限りで廃止され、高校生と大学生&社会人を分離して指名していた「分離ドラフト」も2007年限りで統一された。それから10年でプロ野球界がどう変わったのかというと、セ・パの勢力図が一変した。

セ・リーグの優位は1988年に消えた。

 日本シリーズのセ・パ対決は、第1回の50年から57年までの8年間がセ・リーグから見て5勝3敗、それ以降を10年ずつで区切ると、'58〜'67年が6勝4敗、'68〜'77年が6勝4敗、'78〜'87年が6勝4敗と、いずれもセ・リーグがパ・リーグを上回っていた。

 そのセ優位現象が、'88年以降変わった。'88〜'97年が5勝5敗、'98〜'07年が5勝5敗と拮抗し、'08〜'17年はパが8勝2敗と圧倒した(過去68年間の対戦成績はセの35勝33敗)。

 球界再編騒動後の'05年にスタートしたセ・パ交流戦でもパ・リーグの優位ははっきりしている。過去13年間の対戦成績はパの12勝1敗。このパ・リーグ優位の流れを作った大きな要因がドラフトである。

 まず、セ・パ両リーグ各球団の'08年以降の成績を独自に順位付けしたものを振り返りながら過去10年間を見ていこう。

[パ・リーグ]
1位 ソフトバンク……優勝5回、日本一4回、Aクラス8回
2位 日本ハム……優勝3回、日本一1回、Aクラス7回
3位 西武……優勝1回、日本一1回、Aクラス6回
4位 ロッテ……優勝0回、日本一1回、Aクラス4回
5位 楽天……優勝1回、日本一1回、Aクラス3回
6位 オリックス……優勝0回、Aクラス2回

[セ・リーグ]
1位 巨人……優勝5回、日本一2回、Aクラス9回
2位 中日……優勝2回、Aクラス5回
3位 広島……優勝2回、Aクラス4回
4位 阪神……優勝0回(日本シリーズ出場1回)、Aクラス6回
5位 ヤクルト……優勝1回、Aクラス4回
6位 DeNA……優勝0回(日本シリーズ出場1回)、Aクラス2回

5年連続Bクラスの中日が、過去10年で見ると2位。

 パ・リーグはわかりやすいが、問題はセ・リーグである。

 5年連続Bクラスの中日が、過去10年間で見ると2位に浮上するのが目を引く。

 広島は過去5年間で優勝2回、Aクラス4回の上位球団だが、それ以前の5年間はBクラスに沈んでいるので3位。

 2年連続で3位と頑張っているDeNAだが、'08〜'15年は最下位6回だったので、10年間で見ると6位なのは仕方のないところだろう。

 この10年間の通信簿を頭に入れて、今度は過去10年間のドラフトを見ていこう。

過去10年にドラフトで獲得した選手の成功率は?

 見ていくのは、過去10年のドラフト獲得選手の中に、どれだけ「成功選手」が含まれているか。ちなみに、私が普段成功選手の基準にしているのは、投手は「50勝(1セーブは0.5勝)、300試合」、野手は「500安打、1000試合出場」だが、過去10年ではまだそこに到達していない選手もいる。

 そこで、投手は「プロ在籍1年あたり20試合・4勝・8セーブのうち1項目」、野手は「プロ在籍1年あたり80試合・40安打のうちの1項目」とし、タイトル獲得選手も成功選手に入れた。

 タイトルは、投手なら最多勝、最高勝率、最優秀防御率、最多奪三振、最多セーブ、最優秀中継ぎ、新人王、ゴールデン・グラブ、ベストナイン、MVP、正力賞、沢村賞。

 野手なら首位打者、本塁打王、打点王、盗塁王、最多安打、最高出塁率、新人王、ゴールデン・グラブ、ベストナイン、MVP、正力賞である。

 ソフトバンクの新鋭、上林誠知は昨年ブレークしたと言っても在籍4年で126安打なので成功選手に入らないが、在籍7年で49安打の甲斐拓也は'17年にベストナインとゴールデングラブを獲得したので成功選手とした。

 また育成ドラフト出身の亀澤恭平(ソフトバンク→中日)は支配下登録されてから通算3年の選手なので、通算190安打でも成功選手とした。この通り、成功基準は全体的にかなり甘めに設定している。

[パ・リーグ各球団の成功選手]
ソフトバンク 11人(タイトル獲得6人)
日本ハム 13人(タイトル獲得7人)
西武 15人(タイトル獲得7人)
ロッテ 14人(タイトル獲得5人)
楽天 11人(タイトル獲得1人)
オリックス 16人(タイトル獲得1人)

[セ・リーグ各球団の成功選手]
巨人 11人(タイトル獲得4人)
中日 8人(タイトル獲得2人)
広島 12人(タイトル獲得6人)
阪神 9人(タイトル獲得2人)
ヤクルト 8人(タイトル獲得3人)
DeNA 16人(タイトル獲得5人)

チームの強さと連動しているのはタイトル獲得数?

 過去10年の成績との関連度は、成功選手の数よりタイトル獲得選手の数の方が強そうだ。

 パは西武、日本ハム、ソフトバンクが多いのがすぐわかる。オリックスは成功選手が12球最多の16人だが、タイトル獲得は1人だった。西勇輝の無冠が意外だが、金子千尋もT-岡田も10年以上前の指名選手である。楽天も松井裕樹がいまだに無冠で、タイトル経験者は則本昂大1人である。

 セでもDeNAの成功選手が16人と多いのはオリックス同様、元々チームの土壌が痩せ細っていたことが要因の1つに挙げられるが、タイトルを獲得した選手が広島についで多い。

 '11年以降、広島は菊池涼介、鈴木誠也、大瀬良大地、田中広輔、薮田和樹、DeNAは筒香嘉智、桑原将志、宮崎敏郎、山崎康晃とタイトルを獲得している。中日、ヤクルトが上位に飛び出すには「即戦力」ではなく「将来の中心選手」という評価基準でドラフトに臨むことが必要になるだろう。

 10年間のセ王者・巨人は成功選手11人、タイトル獲得4人とまあまあの成果を挙げているが、タイトル獲得の長野久義、澤村拓一の成績が近年“右肩下がり”なのが不安要素だ。たとえば日本ハム、広島にくらべると若手の抜擢が遅く、'14年1位岡本和真、'15年1位桜井俊貴、2位重信慎之介、'16年1位吉川尚輝はいまだに一軍で目立った成績を挙げていない。

 ドラフト戦略より、入団後の起用法のほうが巨人は問題がありそうだ。

文=小関順二

photograph by Nanae Suzuki

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