フィギュア全米選手権で波乱が!ワグナーとブラウンが平昌五輪逃す。

フィギュア全米選手権で波乱が!ワグナーとブラウンが平昌五輪逃す。

 1月7日、カリフォルニアのサンノゼで開催されていた全米選手権が終了。男女シングル、そしてアイスダンスの3種目でサプライズがあり、予想外の展開となった。

 女子の最大のサプライズは、2016年世界選手権銀メダリストのアシュリー・ワグナーが4位に終わり、平昌オリンピックの代表からもれたことだろう。

 全米選手権では過去7シーズンの間に3度タイトルを手にし、5回表彰台に上がったベテラン選手である。

珍しく、採点への不満を口にしたワグナー。

 SP、フリーともジャンプの回転不足などもあったが、本人はフリーの演技後に「私はパフォーマーなのに第2マーク(表現などの5コンポーネンツ)が出なかったことには怒りを感じている」「回転不足を厳しくとるのは納得できるが、全体を通して公平だとは感じられなかった」と、採点に対する不満をはっきりと口にした。

 ワグナーは4年前の全米選手権でも4位に終わったが、あのシーズンはGPファイナルでメダルをとったことなども考慮され、3位だった長洲未来を押さえてソチオリンピックの代表に選ばれた。

 だが今シーズンのワグナーはスケートカナダ3位、スケートアメリカは怪我で棄権。USFSA(全米フィギュアスケート協会)は、女子のトップ3人をそのまま平昌オリンピックに送ると発表した。

 ワグナーもその後ソーシャルメディアを通して代表の3人を祝福し、「私は応援団に回る」と結果を潔く受け入れた。

新チャンピオンは、まだ19歳のブレイディ・テネル。

 初タイトルを手にしたのは19歳のブレイディ・テネルだった。

 昨シーズンまでほぼ無名でノーマークだった若手選手である。昨年の世界ジュニア選手権では7位で、シニアGPデビューだった今シーズンのスケートアメリカで3位に入賞。SP、フリーを通してほとんどミスのないジャンプの安定度で、高い評価を受けた。

 表現力、洗練度はまだ未完成ながら、フリーではワグナーよりも高い5コンポーネンツが出た。

『USAトゥデイ』紙のコラムニスト、クリスティ・ブレナンは「これはUSFSAが国際ジャッジに向けて、全米女子新チャンピオンのテネルには、それだけの価値があるというメッセージを放ったということに他ならない」と分析した。

長洲未来、8年ぶりのオリンピックへ。

 2位は4年ぶりに表彰台に復帰し、全米選手権では5個目となるメダルを手にした24歳の長洲未来である。

 SP、フリーともに3アクセルに挑み、どちらも着氷は完璧ではなかったが回転は承認された。体型もきれいにフィットして、この大会にかけて調整をしてきたことがよく見て取れる滑りだった。

「どんな結果が出ようとも、自分はすごいスケーターなのだと信じていた。強い意志と自信があったから、今まで続けてこられました。自分の成し遂げたことを、とても誇りに思っています」と会見で語った。

 バンクーバーオリンピックでは4位と表彰台に迫った長洲。平昌は8年ぶりのオリンピック出場となる。

 3位には昨年の全米チャンピオン、カレン・チェンが入った。

男子は……予想通りにチェンが優勝。

 男子はSPでネイサン・チェン、アダム・リッポン、ジェイソン・ブラウンがトップ3だったところまでは、大方の予想通りだった。

 だがフリーは、トップ選手の失敗が続出して大混乱状態に。

 そんな中でチェンだけは、さすがに安定した演技を見せた。不調だという4ルッツは組み込まず、フリップ、トウループ、サルコウの3種類の4回転ジャンプを5回着氷。最後まで大きなミスなくまとめて、総合315.23と一人抜き出たスコアで悠々と優勝を果たした。

 総合2位は、SP6位からいっきに挽回したロス・マイナーである。4サルコウと、8回の3回転ジャンプをノーミスできめてスタンディングオベーションを得た。

 3位は17歳のヴィンセント・ゾウだった。フリーでは5度挑戦した4回転ジャンプのうち4つが回転不足になるなど失敗も多かったが、後半で3アクセルを2度きめてSP5位から表彰台に駆け上がった。

 アダム・リッポンは総合4位、ジェイソン・ブラウンは6位という結果に終わった。

2位になるも代表をはずされたマイナー。

 だが翌日の五輪選考会議では、アダム・リッポンが平昌オリンピック代表に選ばれ、そのために3位のゾウではなく、2位だったマイナーがはずされた。

 3位だったヴィンセント・ゾウは現世界ジュニアチャンピオンで、将来の経験のためにもUSFSAにとって是非オリンピックに出しておきたい選手であっただろう。

 一方ロス・マイナーは2011年、2012年と連続してNHK杯で銅メダルを手にした選手で、2012年四大陸選手権で3位に入った経歴もある。だがここ数年、成績は低迷して今季の世界ランキングも26位まで下がっていた。

 一方、アダム・リッポンはこのところ安定した演技を見せて、ここ2シーズン連続でGPファイナルに進出。今シーズンの世界ランキングは5位である。

 ISU公認のパーソナルベストスコアも、リッポンのほうが18ポイント余り上であることを考えると、USFSAが事前に出していた代表選抜の条件と照らし合わせて、リッポンを代表にしたのは妥当な選択といえる。

「何のためだったのか……」コーチが悲痛な訴え。

 だがその一方で、全米選手権で一世一代の演技をしたのに代表からはずされたロス・マイナーにとっては、残酷な結果となった。『USAトゥデイ』紙によると、マイナーのコーチ、マーク・ミッチェルはこう語ったという。

「協会は、事前にロスをオリンピックの代表にしないと決めていたように思う。予めわかっていたことなら、何のためにロスは夢を叶えようと時間とエネルギーを費やしてきたのか。経費をわざわざかけてこの大会に来たのは、何のためだったのか」

 心に刺さる、悲痛な叫びだ。もちろん彼の言い分にも一理あり、どちらの選手を選ぶのが正しかったのか、という答えはおそらく永遠に出ないだろう。

 USFSAは、チェン、リッポン、ゾウの3人を米国男子の代表として平昌オリンピックに派遣すると発表。

 当然出場が予想されていたジェイソン・ブラウンは、オリンピックも世界選手権も代表を逃して第1補欠になった。

シブタニ&シブタニ、2位に終わるもオリンピック代表に。

 アイスダンスでは、当然優勝が期待されていたマイア・シブタニ&アレックス・シブタニが、フリーで小さなミスをして総合2位に終わるというサプライズがあった。

 初優勝を果たしたのは、このところ着実に実力を伸ばしてきていたマディソン・フベル&ザカリー・ドノヒューである。

 世界選手権銅メダリストといえども、隙を見せると国内でもタイトルを逃すほど、米国のアイスダンスのレベルは高くなったのである。

 3位はマディソン・チョック&エバン・ベイツ。

 そのトップ3組が平昌オリンピック代表に選抜された。

文=田村明子

photograph by USA TODAY Sports/reuters/AFLO

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